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この人に聞きたい:第766回
(週刊水産タイムス:21/01/01号)

女性パワーで豊洲に賑わいを

丸千千代田水産(株) 取締役副社長  石橋 秀子さん
(一社)東京築地目利き協会 理事  本間 奈々さん
(有)伊藤ウロコ 専務取締役  伊藤 嘉奈子さん

(いしばし・ひでこ)石橋利至子社長の長女で2人の息子の母。フリーランスのフラワーデザイナーから丸千千代田水産へ。取締役(事業推進室、広報担当)を経て昨年6月から現職。
(いとう・かなこ)東京都生まれ。広告代理店・出版社で制作、書籍編集に携わり、2000年7月に伊藤ウロコへ。4代目社長の母とともに家業を営む5代目。豊洲市場商業協同組合副理事長(広報担当)。
(ほんま・なな)築地のまぐろ仲卸(布長)の家に生まれ育ち、家業を支える。魚食文化、魚河岸の目利きの魅力を伝えたいと、「東京築地目利き協会」を設立。「築地魚がしコンシェルジュ講座」を開催している。

新春さわやか座談会

 歴史的な移転・開場から2年を過ぎた豊洲市場。だが、世界に誇る食の発信地「豊洲」も、昨年は新型コロナウイルスの脅威にさらされた。2021年を実りある素晴らしい年にしたいと、豊洲で注目の女性3人が、新年の抱負をなごやかに語り合った。

「今年は女性同士でコミュニケーションをとりましょう」とすっかり意気投合
石橋秀子さん
 石橋 あけましておめでとうございます。伊藤さんは以前にも、お目にかかったことがありましたが、こうしてゆっくりお話しするのは初めてですね。本間さんとはほとんど初対面。業種・業態は違いますが、同じ豊洲で働く同士。この座談会を楽しみにしていました。
 伊藤 道路を隔て、建物が違うだけ。豊洲エリアに生きる共通の思いもあるはずです。
 本間 昨年はコロナの感染拡大による緊急事態宣言を機に、寿司屋さんや飲食店が自粛要請を受けたり、時短営業を余儀なくされたことで、私たち仲卸業界も売上げが激減しました。
 これまで経験したことのないような大きなダメージの中で「何とかしなければ」「このままでは廃業に追い込まれてしまう」との危機感が募り、仲卸の仲間と連携し、青果も含めた「旬の目利き便」のネット販売を始めました。豊洲市場のプロの目利きが厳選した魚介類が自宅で味わえるということで、予想以上に好評でした。
 石橋 当社は塩干品、加工品が主力商品なのですが、昨年からのコロナ禍でも比較的堅調だった量販店を中心に、営業努力を重ね、何とか1年を切り抜けることができました。また、コロナ感染防止のためのソーシャルディスタンス、テレワークなど、これまでになかった職場環境を整えました。
 手洗い、うがいといった衛生面の基本はかねてより徹底していますが、それ以上に今回は「コロナで豊洲の機能を止めてはいけない」「食品流通を何としても守る」――その思いで社内が一致結束しました。
 今もコロナ禍の最前線で闘って下さる医療関係者の皆様への感謝の念は絶えません。それとともに、大切な食品流通を担う私たちも、医療関係者と同じように強い使命感を持ち続けたいと思っています。

魚河岸マスクを愛用する
伊藤晴彦社長
本間奈々さん
伊藤嘉奈子さん
逆境にあって活路を見出す

 伊藤 商業施設も昨年は大変でした。特に5月は最低の状態。こんなことは初めてでしたね。
 途方に暮れるような日々がしばらく続きましたが、3月にマスク不足が叫ばれるようになり、「私たちも何かできることがあるのでは」と思いついたのが魚河岸手ぬぐいで作った「手作りマスク」でした。
 嬉しいことに、さっそく中央魚類の伊藤晴彦社長が愛用して下さり、その後、水産タイムスが記事で取り上げてくれたこともあって、次第に引き合いが増え、量産体制をとるようにしました。そのうち「伊藤ウロコの魚河岸マスク」として知られるようになり、テレビ番組で紹介されるまでになりました。
 ちなみに昨年夏から卸売会社向けに長靴の点検サービスを実施しています。今は中央魚類で底の減り具合や作業上の確認、清潔チェックなどを定期的に行っています。
 おかげさまで新たな仕事が増えました。コロナ禍にあって、とにもかくにも前を向いてアクションを起こそう――そんな気持ちを持ち続けた1年でした。
 石橋 どんな逆境にあっても、何とか活路を見出していく。とても大切なことですね。
 魚河岸が日本橋にあった時代に創業した伊藤ウロコさんはゴム長の元祖。ゴム長は水気の多い市場内でも「滑らない」のが特徴で、最近はそれがゲン担ぎになり、受験生にも人気があるようです。私も知人に頼まれてプレゼントしたことがあります。
 伊藤 ありがとうございます。
 石橋 伊藤ウロコさんはゴム長靴以外にも、水産防水服や白衣など様々な商品を揃えていますが、「魚河岸マスク」も名物の一つになりましたね。まさにピンチをチャンスに変えた。
 伊藤 いえ、大それたことはできませんが、2021年も新たなことにチャレンジしたいですね。これまで当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなった。これまでと違うことを考えないと活路は開けない。コロナの教訓かもしれません。
 小さなことですが、最近、ホームページのサイトのリニューアルに取り組んでいます。店に来ていただくのが私たちの商売の基本ですが、たとえ店に来られなくてもお客様の要望にお応えできる「オンライン販売」に、今年はより力を入れて本格的に挑戦してみたい。
 石橋 創業111年の「伊藤ウロコ」にとって、大きな変化の年になるかもしれませんね。

MEKIKIを世界の共通語に

豊洲を活躍の舞台に
 本間 コロナがなければ開催されるはずだった2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「MEKIKI(目利き)」を世界の共通語にしたいと思っていました。
 「マグロの重量揚げ」「水産資源を守る国コンテスト」「魚食普及世界一決定戦」「大使館別お魚料理会」など、魚に関する色々な競技やコンテストを集結した「ウオ(魚)リンピック」の開催を考えていたのです。
 石橋 ウオリンピック? 面白そう。
 本間 ありがとうございます。このアイデアは生かしたい。一日も早くコロナが収束し、オリンピックが開催され、本当にウオリンピックができるよう願っています。
 石橋 豊洲市場は開場から3年目に入りました。守り続けるべき伝統があれば、時代の流れとともに進化していかなくてはならないこともあります。様々な点で先行きが読みにくい不透明な年明けになってしまいましたが、会社としても、また豊洲市場としても、2021年は外へ打って出る年にしたいと思っています。
 「食」のライフラインとして世の中に貢献していくこと、卸としての信用・信頼はこれからも変わりません。それとともに新たな価値を創造する未来へのチャレンジが何よりも必要です。
 私たちも男性の「市場人」の潔さや江戸っ子気質を大いに見習って、女性の視点から新しい時代の豊洲を創り上げていきたいですね。魅力あふれる市場にするため、女性同士でコミュニケーションをとっていきましょう!
 伊藤 それはいいですね、ぜひ。まずはこの3人から。
 本間 私も大賛成です。よろしくお願いします。
 石橋 それでは決まり。今年はお互いに連携をとり合いながら、豊洲市場を女性パワーで大いに盛り上げていきましょう。

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