この人に聞きたい:第770回
(週刊冷食タイムス:21/01/26号)
3年後の50周年で30億円超えへ
(株)帝国ホテルキッチン 代表取締役社長 福本 雅志氏
(ふくもと・まさし)昭和62年ニチレイ入社。本社企画から平成22年フクミツ(現ニチレイウエルダイニング)社長。23年調理品の商品第一部長。25年業務用事業部長。29年常務執役。昨年6月現職。昭和39年11月兵庫出身、同志社大経済卒、56歳。
商品味わいホテルに客呼び込む
ニチレイFでは業務用で著名シェフ監修「シェフズスペシャリテ」を手掛け、業務用独自の商品提案会を開催するなど独創的な取り組みを進めたが、帝国HKに関わる経験はなかった。
――業務用の福本さんが家庭用バリバリの帝国HKに、思いは?
福本 帝国ホテルキッチンはホテルブランドを背負った歴史ある会社で、ギフトに強みを持つが、私自身はまったく縁がなかった。新しいことを学び経験に上積みするいい機会だと思って来ました。
――着任して思ったのは。
福本 すごいことをしてるのに外部に伝わっていないこともいろいろあるな、と。全商品の全ロットを毎週火曜日、帝国ホテル出身の下川明宏取締役料理長を中心に検食しています。得意先にそのことをお知らせすると「すごい!」と皆さん驚く。野菜のカットのブレを見つけたり、しっかり検品する。それが帝国ホテルブランドの商品の品質を保っている訳です。
――社長方針の第一声は。
福本 和をもって尊し、だが、なれ合いではなく、意見をガクガク言い合う集団にしたい、と伝えました。内容性の質が高まるとコミュニケーションが良くなり、思考の質が高まって行動の質が高まるという説があります。当社も意見をぶつけ合って質を高めたい。
――発足から長い歴史がある。
福本 1974年1月設立なので間もなく節目の50周年。それまでにいろんなことを考えてます。今年は約28億円ですが、50周年の2024年には30億円突破。それにふさわしい内容にして利用者、取引先卸、そして帝国ホテルと一緒に喜びを分かち合いたい。
――帝国ホテルとの関係性は。
福本 コロナを機にいまホテルは非常に厳しい。だからこそホテルから当社に対する期待度がこれまでになく高くなっている。外出自粛がなくても帝国ホテルに泊まりたい、レストランで食事したいと願う人は大勢います。その期待をつなぐのはいま帝国HKの商品しかない。一方で当社が扱っている商品は単品だが、私はホテルと相談しながらメニューとしてセット提案を考えている。これなら業務用の経験が活かせるでしょう。
――福本さんが帝国HKに来た理由がわかったような気がする。
福本 当社商品、売れ行きが非常にいいんです。しかも「知人からいただいたんだが、どこで買えますか」という問い合わせが毎日入ります。これは買うための行動。当社品を食べて満足出来たら、次は是非、本丸の帝国ホテルにお越しいただき、ホテルライフを楽しんでいただく。それが私の最大のミッションだと思っています。