この人に聞きたい:第771回
(週刊冷食タイムス:21/02/02号)
見通し難しい設備投資
ジョンビーン・テクノロジー(株) 代表取締役社長 川上 真一氏
(かわかみ・しんいち)宇都宮生まれ。大学は英文科。海外の仕事を希望してレオン自動機に就職し9年間カリフォルニア州のレオンUSAに勤務。2008年7月JBTに転じ15年から現職。今年57歳。
変化に応えられる準備を
コロナ禍で食品市場は大きく変化した。設備投資の動きもだ。ジャイロフリーザーなど冷食産業に関わり深い装置を扱うJBTも大きな影響があるという。
――新型コロナは設備投資にも影響を与えていると聞く。
川上 当社は2019年の秋ごろまでは受注が好調でした。たぶんオリンピック開催を見込んだ設備投資だと思います。その後受注が減ったのはオリンピック後に消費が落ち込むと予想されていたからでしょう。ところがコロナにより、当初予定していた受注も多くが延期となりました。昨年秋くらいから再度活発になってきたのですが、今回の第3波でまたスローになりました。これは、先の見通しがつきにくなったということでしょう。今の案件も来年以降の実施が多いですから。それも、もし第4、第5波が来たらどうなるかわかりません。”消費者の購買力がとうぶん戻らないのではないか”という不安感もあって慎重なのだと思います。
――冷食はコロナで脚光を浴びたが。
川上 今は新規のラインを計画する食品メーカーが少ないですし、更新需要もフリーザーの場合は不急といいますか、後回しになりやすい。メーカーはなんとかフリーザーを後2年もたせて、そのぶん設備の維持やどうしても必要な部分に振り分けている感じです。
――水で食品をカットするウォータージェット食品切断機「DSIポーショニングシステム」は九州にテスト機を置いて本格的に提案できるようになった。
川上 主に鶏肉加工場に提案していますが、この時期は鳥インフルでテストが中断しています。
――AVUREの高圧処理装置も、貝の殻が簡単に剥けるなど画期的な装置だ。
川上 それもテストができず、話が進みません。実機が日本になく、かといって海外出張できない状況なので、日本にテスト機を持ってくることを検討しています。
――予想していた以上に影響が大きい。日本以外も?
川上 タイやオーストラリアなどはコロナのダメージが少ないせいか、従来通り設備投資が続いています。
――今回のコロナで食品工場は大きく変わるだろうか?
川上 わかりませんが、冷食はリテールと業務用の規模が逆転するかもしれないですし、そうなると工場ではどちらでもある程度は使える共用的なラインが求められるかもしれません。今はそうした要求にどうしたら応えられるかなど、変化に対応できるようにと考えています。