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この人に聞きたい:第773回
(週刊水産タイムス:21/02/15号)
食品商業捕鯨の海域拡大と増枠を
共同船舶株式会社 職場委員 武田 慎太郎氏
(たけだ・しんたろう)昭和45年5月生まれ。北九州市出身。山口県下関市の水産大学校(漁業学科)を卒業後、共同船舶入社。南極海や北西太平洋の調査捕鯨では砲手として従事。現在は陸上勤務だが、2年後に海上へ出る。
世界のクジラ資源がどんなに豊富であったとしても、捕鯨技術がひとたび途絶えてしまえば、日本伝統のクジラ食文化を後世に継承することはできない。 IWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、一昨年7月に自国の200海里内での商業捕鯨再開に踏み切った日本。商業捕鯨モラトリアム後は北西太平洋や南極海で調査捕鯨を行ってきたが、現在の商業捕鯨は調査捕鯨時代と比べ、捕獲海域は圧倒的に狭く、鯨肉の生産量もおよそ半減している。 「捕獲対象のイワシクジラ、ナガスクジラは主に津軽海峡より北側で見ることが多いが、日本の200海里の北限はロシアの実効支配によって北へ行くほど狭い。今後は公海を含めた北西太平洋での操業が望ましい」と、操業海域の拡大と捕獲枠の増枠を求める。 入社7年目に砲手となった。南極海、北西太平洋の海の様子を直に見てきた自身の実感として「クジラは間違いなく増えている」。クジラ資源の増加を示す科学データの裏付けを、砲手としての現場の目でも確かめてきた。 今年は商業捕鯨3年目。捕鯨業の健全かつ持続的な発展、鯨肉の安定供給に向けての正念場となる。 「大量の海洋生物を餌とする鯨類を利用することは、海の生態系のバランスを保つ上で非常に大切なこと。増え続ける地球人口と食料問題に目を向ければ、鯨類の7割が生息しているといわれる南極海での捕獲が必要になる時代が必ず訪れる。一日も早く南極海での調査捕鯨を再開すべき」。 それは、持続的な商業捕鯨の再開をめざし、凍てつく海の上で闘ってきた、信念にほかならない。
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