この人に聞きたい:第796回
(週刊冷食タイムス:21/08/03号)
ECで価格競争仕掛ける
(株)シルバーライフ 代表取締役社長 清水 貴久氏
(しみず・たかひさ)警視庁から経営コンサル企業を経て、高齢者向け配食のFC店に加盟。全国売上げ1位。2007年シルバーライフ入社。FC加盟店の営業開発に従事。
12年社長。明治大学経営学部卒。1974年東京都生まれ。
冷凍弁当で1食500円以下
高齢者向け配食サービスをFC展開するシルバーライフはネット直販の冷凍弁当で「置き配」サービスを開始し、1食500円を切る価格で勝負に出る。
――冷凍弁当の売上げ実績は?
清水 2019年6月の本格参入以降、自社サイトやAmazon、楽天での販売総数は330万食超。冷凍弁当のOEMを含む「直販・その他」事業の今7月期の売上げは、15.3%増の約14億9千万円を見込んでいます。
――受注量が想定以上に伸び、工場は製造限界に達した。
清水 ネット広告の出稿量を抑えて生産量をコントロールせざるを得ませんでした。ただ、新設の栃木工場(栃木県足利市)が今年6月に本格稼働したため、増産体制が間もなく整います。
――生産量はどの程度増える?
清水 これまでは日産2万食が限界でしたが、5万食に引き上げます。スパイラルフリーザーを2基導入して生産ラインを2本にし、人員も徐々に増やす予定です。
――生産体制が整ったところで販売強化策を打ち出した。
清水 FC加盟店の配送網を活用した「置き配」サービスを7月開始しました。ネットで注文を受けると、最寄りの加盟店が指定場所まで配達します。定期購入コースの7食セットを土曜日の深夜から日曜日の早朝にかけて置き配します。税・送料込みで通常3980円のところ、3480円で提供します。
――1食500円を切る安さ。
清水 冷凍の宅配料は1軒あたり1400円前後かかりますが、加盟店に一括で送ることで配送料を大きく下げられます。このビジネスモデルの強みは全国に900店舗ある配送網を活用できること。他社には真似できない仕組みです。まずは約200店舗で開始し、徐々に広げていきます。
――低価格戦略のねらいは?
清水 成長が見込まれるマーケットでは価格を下げてでもシェアを獲っていくことが重要です。積極的にレッドオーシャン化を進めて競合他社を減らし、か占化した後で大きな利益を生み出す。これは市場戦略の核心です。
――勝算はある?
清水 当社は高齢者向け配食サービス、高齢者施設向けの食材販売などキャッシュを生み出す事業を展開しており、いずれもマーケットは伸び続けています。勝負をかける事業(冷凍弁当)では利益を大きく取らなくても対抗できる基盤を持っていますから、泥沼の価格競争に持ち込んでも勝てる自信はあります。