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この人に聞きたい:第838回
(週刊冷食タイムス:22/06/14号)

生産は自前主義から脱却

味の素冷凍食品(株)取締役常務執行役員  桐原 正和氏

(きりはら・まさかず)1995年味の素入社。2013年ブラジル味の素、17年取締役、19年味の素、20年味の素冷凍食品生産統括室長、21年から現職。1970(昭和45)年3月22日生まれ、52歳。兵庫県出身。長崎大大学院修了。

優先課題はパートナー探し

 味の素冷凍食品は生産分野でこれまでの自前主義から脱却し、餃子、焼売といったコア領域以外はパートナー企業との協業(委託)に舵を切っている。担当部署の人員も増強した。

 ――今、最も力を入れている仕事は?
 桐原 協業パートナーを探すことです。本社生産統括室の体制・人員も増強しました。

 ――なぜ委託生産?
 桐原 財務指標の1つに投下資本利益率の向上を掲げており、その実現のためです。当社は単品を大量生産するのは得意ですが、その一方で多品種少量生産に適した生産ラインとは言えません。スモールマスにフィットするパートナーと協業する方が効率的です。
 昨今の厳しい経営環境でも、ラインの増設や新工場建設に踏み切っているメーカーがあります。2〜3割は生産品目が決まっていながら、残りの空き稼働枠をどうしようか思案しているような企業があれば話をさせていただきたい。国際規格のFSSC22000の認証を取得していれば理想的です。最近では日配・チルド品メーカーが冷凍食品に参入しています。日配・チルド品の生産は非常にフレキシブルに生産をコントロールしているので、候補の1つ。協業相手は大手に限定することなく、幅広く探しています。

 ――パートナー候補は多い?
 桐原 委託生産するイメージを持たれていないせいか、こちらから積極的に探し回っているのが現状です。一方で、協業する場合、品質管理レベルのすり合わせや、必要であれば生産技術の支援など大変な作業があるので、新しく協業開始できるのは年間で3〜4社が限界かもしれません。そのため目標の委託生産比率に到達するまでには時間がかかるでしょう。

 ――工場勤務が長い。
 桐原 エンジニアとして味の素の川崎工場で省人化を伴う固定費の削減や工場レイアウトの変更、ガスエンジンの導入などに携わりました。冷凍食品も同じ生産という視点で見ると、程よく知って、程よく知らないため、いい距離感で見えていると思います。

 ――すでに成果を上げている。
 桐原 現場から挙がった639件のアイデアのうち、367件を実行テーマ化しました。「ギョーザ」と「シューマイ」の成型後の検品をAIに切り替えたところ、人間以上に安定的に、精度高く検品できることが実証できました。光を当てる角度や色合いが大事なようです。学習に時間を要するため、大量生産している商品を優先して横展開します。

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