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この人に聞きたい:第840回
(週刊冷食タイムス:22/06/28号)

グループ企業の多様性は宝物

キユーピー(株) 代表取締役社長  高宮 満氏

(たかみや・みつる)87年入社。2012年研究開発本部長、13年執行役員、15年マーケティング本部長、17年ファインケミカル事業担当。19年上席執行役員。20年QPタマゴ社長。22年2月現職。1961年4月22日東京生まれ。東水大院修了。61歳。

業務用冷食の経験を市販でも

 2年前の2月QPタマゴ社長に就いた直後からコロナとの闘い。社長2年目は鶏インフルで品不足と原料高騰。今年2月の同社社長就任の前日ウクライナ侵攻開始、と試練が続く。

 ――ユニークなキャリアだ。
 高宮 商品を生産したことも売ったこともない。しかし経験豊富な人なら変えることに勇気がいるが、私にはそれもない。何しろポジティブに常に考えている。

 ――キユーピータマゴからの本社社長就任は異例。
 高宮 QPタマゴの社長に就いた直後からコロナ。2年目は鶏インフルで原料が高騰。今回、キユーピーの社長となる前日からウクライナ侵攻と試練が続くが、私には貴重な経験。グループは多様な機能、役割、行動力を持っている。生い立ちも、労務環境も違う。その違いは宝物であり、それを理解してうまくさい配すればもっと大きな力を発揮できる。様々な考えを聞くため事業所を回っている。

 ――どんな印象?
 高宮 現場を訪れて私が大切にしていることを伝えているが、ベクトル合わせがいま始まったと感じる。強み弱みも見えてきた。これを活かし、ピンチをチャンスに変えたい。変えられればグループは大きな体力を持つことになる。

 ――これまで印象深いことは。
 高宮 開発担当の頃、試作品を数品持って大手コンビニ本部を訪れたら、食品部長が出てきて「押しの1品だけにしろ」と。商品には自信があったが、部長氏、1食を完食した。これは初めてのこと。で、「しょっぱい、味を整えてくれ」と一言。最後に「携帯よりうまいものを持ってきて」と求められた。

 ――どんな意味だろう。
 高宮 男子学生の当時の食費は月5万円。そのうち2割の1万円をコンビニに落としていた。ところが携帯料金がかかるため月6千円に減ったという。競合相手は同業に限らないことを学び、私はいま、社内にそれを伝えている。

 ――タマゴ事業の99%が業務用という構造がコロナで大打撃を受けた要因。市販用は冷凍食品の展開も前から宿題になっていたが。
 高宮 確かにコロナで潜在課題が浮き彫りになった。市販用でもタマゴを強化すべき。そこに業務用の知見が活かされる。タマゴの市販用冷凍食品は否定しない、方法論として。冷凍設備もある。コロナを機に家庭での冷凍食品需要が高まったことも承知している。業務用で取り組んできたノウハウを市販用で使わない手はない。

 ――プレゼンが非常に上手だ。
 高宮 何を伝えるかは、相手が何を聞きたいかでもある。うまく伝えるには勉強も必要になる。

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