この人に聞きたい:第841回
(週刊冷食タイムス:22/07/05号)
「3つの改革」成し遂げる
味の素冷凍食品(株) 取締役 常務執行役員 マーケティング本部長 伏見 和孝氏
(ふしみ・かずたか)92年味の素入社、中国支店冷食課、97年本社冷食部。2000年味の素冷凍食品、05年業務用事業部グループ長。15年経営管理部長、16年執行役員業務用事業部長、今年3月現職。都立大法律学科卒、69年7月東京狛江生、52歳。
23年の真の成長に向けて
味の素執行理事で味の素フーズ・ノースアメリカ社長に転じた下保寛専務に代わりマーケティング本部長兼国内統括事業部長に。92年入社以来冷食事業一筋。歴代トップの下で事業戦略を学び、事業統合、ヒット商品開発の裏側も見てきた。
――下保専務の後任として、国内事業トップ。ミッションは何?
伏見 黒崎前社長と下保前専務を中心に議論を重ねて立ち上げた「3つの改革」を成し遂げ、その先にさらにお客様に貢献できる、より良い事業を創ることです。
――黒崎社長が強調していた。
伏見 「3つの改革」はコロナ禍でも@事業ポートフォリオ転換ABU(ビジネスユニット)構造転換B生産戦略の転換――を進めること。事業ポートフォリオ転換は着実に進んでいます。コア3領域を拡大する計画の中で、スイーツはコロナの影響を受けましたが、餃子、焼売は確実に進展。スイーツも業務用需要の回復とともに戻りつつあります。戦略2領域の米飯と鶏肉でもユニークなポジションをつかみつつあります。
――ビジネスユニット(BU)の構造転換は。
伏見 家庭用は増収増益で成長性と収益性を両立。業務用は不採算品の終売を断行したが、スイーツ・スター商品の拡大もあり減収ながら増益に転換。キーアカウントも構造改革が進んでおり減収だが増益。23年度から始まる真の成長段階で3BUとも増収増益となればより強くなれます。史上最高値レベルの動燃費高騰、さらに円安の進行で苦しいが、なんとか乗り切ろうと呼びかけています。
――値上げがどう影響するか。
伏見 統計では、いま史上最高水準の資源価格高だが、永続的なお客様への貢献、事業発展にはここをどう乗り越えるかが非常に大事。値上げするだけでなく、様々な需要喚起策、全社挙げた高付加価値商品とサービス提供で冷食の価値をさらに上げ、市場が減速しないようにしたい。
――キーアカウントで「バイヤー起点」から「生活者起点」への転換が目を引く。
伏見 従来はバイヤーの要望を聞いて開発するのが仕事だったが、今後は購買データなど生活者ベースで提案し、バイヤーと共に開発する形に変える。DX推進部がキーアカウント事業部に入り込んで既に取り組みを始めている。
――少林寺拳法2段とある。
伏見 高校に入ったら中学の先輩が少林寺拳法部の副主将になっており、入れられた。大学では拳法部がなかったのでサークルで野球をしながら道場通い。当時の仲間や学びは今も大きな資産です。