この人に聞きたい:第854回
(週刊冷食タイムス:22/10/11号)
社員が理解し納得できる会社に
ウルノ商事(株) 代表取締役社長 宇留野 裕太氏
(うるの・ゆうた)サービス業2社を経て6年前入社。係長、課長、執行役員、支店長、常務から6月24日付で社長に。少林寺拳法2段。東海大工学部中退。宇留野正義会長の女婿。昭和59年4月東京生まれ、細身で長身、38歳。
経験不足だが、先入観もない
北関東の業務用卸の雄。義父宇留野正義氏(74歳)の後を受け38歳の若き社長が誕生。「理解しても納得していないことが一番つらい」という自身の経験を基に「従業員の満足度」を重視する。手腕が注目される。
――社長交代の前後は?
宇留野 6年前入社した際、宇留野社長(当時)から「5年で社長をやれ」と。1年遅れたが、ほぼ予定通り。驚きも戸惑いもありません。むしろ執行役員、役員就任の際は私だけが知らず「いつからですか」と聞いたほど。
――プレッシャーはない?
宇留野 肩の力が入ることもなく、プレッシャーもない。これから感じるのかも。責任感を感じていないわけではないですが。
――どんな会社をめざす?
宇留野 「従業員の満足度」を高めたいと社内に伝えています。前職2社で経験したんですが、言われたことを理解しても納得していないことが一番シンドイ。私が考えた方針を役員会で決め、それを社内に下ろしても納得されなければ満足度は得られない。そこで方向性だけを示して、プロジェクトなど社員で具体的に組み立て、実行させた方が社員の満足度は高くなる、と考えています。
――宇留野家出身以外の社長。しかも若い。内外で注目している。
宇留野 6年前に外から来たのは事実。ウルノの形も染まっていない。これまでの「ウルノ商事」とは違った形でいいと私は思ってます。新しい形になるでしょう。
――中計5カ年計画を立てた。
宇留野 基本は「従業員満足度」を高めるための内容。しかし立ち上げてからスタートまで準備期間が短かったので、いろいろ考えながら進めていきます。
――「満足度」どう測る?
宇留野 外部の企業満足度意識診断サービスを活用する考え。
――地域業務用卸の環境が変わってきたが。
宇留野 地方の中小規模の食品卸会社で主要業務が営業。これは就職する際に一番不人気の業種。しかも少子化。地域の会社合同説明会に参加者が減っており、近々合同説明会がなくなるかも。食品卸にはブランド力もない。当社の歴史や顧客からの信頼度も入社しないとわかってもらえない。そこで選ばれる会社になるためにどうすべきか。さらにいまメインの学校給食、老健は20年30年後も続くのか。環境は変化するでしょう。ただ食品サービス業はなくならない。どうすべきか、考えたい。
――若くて社歴も短い、不利?
宇留野 社会経験も営業経験もない。その分、先入観もない。