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この人に聞きたい:第860回
(週刊水産タイムス:22/11/21号)

環境移送技術で海を救う

(株)イノカ 取締役COO  竹内 四季氏

(たけうち・しき)1994年生まれ、鹿児島県出身。東京大学経済学部卒業。人材関連メガベンチャー勤務を経て、2020年4月にイノカに入社。同年11月から現職。

 尊敬する人物は京セラやKDDI(旧・第二電電)を創設した稲盛和夫氏。同氏の人生哲学の一つである「動機善なりや、私心なかりしか」を座右の銘としている。
 メガベンチャーからの転職を決意したのも、イノカの掲げるビジョン「人と自然が共生する世界をつくる」が善であり、同社の事業が社会の役に立つと確信したからに他ならない。
 今年2月、世界で初めて完全閉鎖環境で時期をコントロールしたサンゴの人工産卵に成功し、国内外からの関心を集めた同社だが、事業の本質はサンゴの飼育技術ではなく、それを可能にした「環境移送技術」にある。
 AIやIoT技術を活用し任意の生態系を水槽内に再現する「環境移送技術」は、実際の環境では取得困難かつコスト高となる環境データを容易に取得できるため、様々な環境問題解決への糸口となることが期待されている。竹内氏は前職における事業開発や営業の経験を生かし、「環境保全×経済合理性」の両立に全力を注ぐ。
 「事業で得る利益は、善へとつながる事業を継続していくために不可欠なもの。先行事例を積み重ねることで、事業の経済合理性を証明し、国内外に発信していく」
 このほど、東京都が主導する「東京ベイeSGプロジェクト」で、環境移送技術とJFEスチール社の鉄鋼スラグを活用したイノカの水質改善事業が先行プロジェクトとして採択された。また、磯焼けの一因とされるムラサキウニの効率的な養殖方法の実証のほか、ブルーカーボンとしての役割が注目されるアマモの環境再現なども検討を開始している。サンゴベンチャーから環境移送ベンチャーへの進化が期待される。

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