この人に聞きたい:第873回
(週刊冷食タイムス:23/02/28号)
「デニーズ」の食体験が強み
(株)セブン&アイ・フードシステムズ 外販事業推進部長
堀川 淳子氏
(ほりかわ・じゅんこ)1989年入社。2015年まで店長、エリアマネジャー、ゾーンマネジャーなど現場を経験。18年販売促進部長、20年ファストフードカフェ営業部長、22年2月から現職。1967年9月東京生まれ、55歳。
冷凍食品は今後も継続
ファミリーレストラン「デニーズ」を運営する(株)セブン&アイ・フードシステムズは主に店頭で販売している冷凍食品の売上げが好調。2023年2月期は85%増を見込む。来期はさらに伸ばす。
――冷凍食品の発売に至った経緯を知りたい。
堀川 以前から「母の日」やお歳暮のギフトとしてスポット的に冷凍食品を宅配で販売していました。新型コロナウイルスの感染が拡大し、スーパーの冷凍食品が伸びていたため21年4月から本格的に扱うことになりました。当初使っていたブランド「おうちデニーズ」を、22年5月に冷凍食品専用のブランド「Denny's Table(デニーズテーブル)」にリブランドし、パッケージを一新。これを機にイトーヨーカドーのほか、デニーズが出店していない地域で、セブン&アイ・グループ以外のスーパーでも扱ってもらっています。
――生産体制は?
堀川 当社の考え方を理解してくれている、長年取り引きがあるメーカーが大半です。冷凍食品の売上げNo.1商品「デミグラスハンバーグ」を生産しているのは、レストランのハンバーグと同じメーカーです。
――ハンバーグが売上げNo.1?
堀川 はい。レストランでは「ビーフシチュー」がNo.1で、冷凍食品では2位。冷凍「ビーフシチュー」はレストランで提供しているビーフシチューと容量も含めて全く同じものです。隠し味に醤油を加えて和風仕立てにしているため、パンにもごはんにも合います。
――売れ行きは計画通り?
堀川 レストランでお腹いっぱいになったお客様が果たして購入するだろうかと懸念はありましたが、結果的に冷凍ショーケースを導入したことで売上げが想定の4倍。デニーズの味を知ってもらえる、リアルな食体験があるからこそ購買につながっていると感じています。
――今後の計画は?
堀川 メイン顧客がファミリー世帯なので、3〜4人で使うことを想定したメニューが必要かもしれません。そういう意味では、1kg入りの冷凍「ジャンバラヤ」が該当します。これもレストランと全く同じものです。
また、家庭でレストランの味を完全に再現するのは難しいため、ひと手間加え、より本格的なメニューに仕上げるアレンジレシピの提案にも力を入れています。アイテムは現状の16〜17アイテムで、改廃を進めることになるでしょう。新型コロナウイルスが収束したとしても、冷凍食品は継続しますよ。