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この人に聞きたい:第881回
(週刊水産タイムス:23/04/24号)

本質は身近な日常の中に

モデル・定住旅行家  ERIKOさん

鳥取県出身。モデルとして活躍する一方、「定住旅行家」としてイタリア、アルゼンチン、ロシア、インドなど50カ国で109家族と生活を共にしてきた。著書に「せかいのトイレ」(日本能率協会)など。とっとりふるさと大使。

 3カ月過ごしたイランから帰国したばかり。通常、旅行と言えば“非日常”を実感するのが目的。美しい景色を眺め、おいしいものを食べ、次への英気を養うためのリフレッシュというイメージだが、「定住旅行家」はちょっと違う。
 訪れた国での“暮らし”そのものを体験し、食習慣をはじめ、あらゆる生活文化に触れる。それまで全く知らなかった家族と数カ月にわたって共に過ごすが、決してお客様ではない。
 蛇口をひねれば水が出てくる国とは限らない。スプーンやフォークを使わず、直に手で食べる国もある。グリーンランドでは毎日のようにアザラシの肉を食べた。訪れた国ではどんなものでも食べたが、死んだ動物を食べるアルマジロだけは、さすがに無理だった。
 ジョージアの「スプラ」は単なる食事ではない。家族や親せき、近隣の人が20〜30人集まり、平和や友愛、先祖への思いを延々と語り合う。時には悩みを打ち開け、歌ったり踊ったりしながら12時間も続く。
 「宴会」であり「儀式」だが、@酔いつぶれてはいけないAネガティブなこと、人の悪口を言ってはいけないB乾杯の酒は飲み干す――のが決まりだ。
 「食という字は“人が良くなる”と書く。人間にとって最も大切な行為なのに、日本の食料自給率は30%台。大きく改善しなければならない」
 インターネットが普及した今は、情報が簡単に手に入る。それはそれでいいが、「テレビや新聞では報じられないような小さな出来事に、人間の本質が映し出されている気がする。足を運び、自ら経験して、初めて理解できることを大切に感じたい」。

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