この人に聞きたい:第912回
(週刊冷食タイムス:23/12/12号)
子会社とのシナジー拡大を
旭食品(株) 代表取締役副社長 竹内 紘之氏
(たけうち・ひろゆき)2001年加ト吉入社。06年4月旭食品入社。14年取締役商品統括本部副本部長兼商品部部長。16年常務に昇格し同本部長に。19年4月から現職。西日本エリア・商品統括本部、広域営業本部を管掌する。大阪産業大学経営学部卒。1977年5月生まれ、46歳。
新中計ACE2030発進
今年創立100周年を迎えた旭食品は次期中期経営計画「ACE2030」を策定した。2030年に売上高7500億円、経常利益82億円、ROIC10%以上という数値目標もあるが、より重要なのは新しい問屋の形を創ることと言える。
――新中計のポイントは?
竹内 地域貢献を着実に推し進めることを一番に意識しています。また、卸本体と各子会社が事業ポートフォリオを明確にし、シナジー効果を生み出すことも大切です。
――地域貢献といえば、既に土佐山村のゆずを活用した商品を開発したり、1次産業のスマート農業化を手助けしたりしている。四国のゆず畑では社員がドローンを操作して農業を手助けしている。その事業化は?
竹内 ゆず果汁原料を使って商売させてもらっていますし、まだ利益という段階ではないです。将来的にはスマート農業を手助けする会社を設立して事業化することをめざします。
――今年は韓国築地と香西物産を子会社化した。
竹内 韓国築地は韓国の量販店にテナントを持っており、韓国風の稲荷寿司などは人気があるようです。韓国に販路を築く足掛かりということ。香西物産は寿司種を扱っています。これまで子会社化した寿司種卸の大倉や、ベトナムのサクラフードと同様、水産品関係でシナジーが期待できる。
――得意先の広域化への対応として、現在の4支社15支店体制を5支社3管理本部体制に再編するエリアカンパニー制への移行も計画している。
竹内 すでに始まっています。直近では岡山支店と境港支店、徳島支店と香川支店を統合することが決まっていますし、東京支社では関東支店と首都圏支店の管理部の統合を行います。最終的には四国も4県の支店を四国支店に統合することになるでしょう。
――新中計では菓子部門を強化する。
竹内 まだ地域の菓子卸や酒卸は多く残っていますから、それらに当社の仲間になってもらおうということです。
――なるほど。そうして空白地域を埋めていくと。では、最後に今期の足元までの業績について。
竹内 連結で4〜10月の売上げは10%増、売上総利益は7.6%増です。経常利益も計画を上回っています。昨年から値上げ対応をきっちり進めたことが大きい。単品の利益管理も4年目で定着してきました。市販用冷食は10月まで13.6%増、業務用冷食は11.9%増で推移しました。