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業界交差点

この人に聞きたい:第918回
(週刊水産タイムス:24/01/29号)

業界の枠組み超え取り組む

(一社)日本冷蔵倉庫協会 会長  浜田 晋吾氏

(はまだ・しんご)2023年6月に就任。ニッスイ代表取締役社長執行役員最高経営責任者(CEO)。東京大学大学院農学系研究科水産学専門課程修士課程修了。1983年4月、日本水産入社。95年八王子総合工場の冷食工場長、2008年同総合工場長。10年ハチカン(副社長)、11年山東山孚日水(総経理)に出向。14年6月に執行役員となり、取締役執行役員、取締役常務執行役員、代表取締役専務執行役員を経て、21年6月から現職。1959年1月生まれの65歳、東京都出身。

 新春早々に能登半島地震、2日には航空機の事故が発生しました。新年のスタートとして大変な悲劇です。お亡くなりになった方々、被災された方々には心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 昨年の世界情勢を振り返りますと、ロシアのウクライナ侵攻による両国の戦争は2年目に入りましたが、情勢に大きな変化がないまま、いまだに継続中であり、さらに10月にはイスラエルとパレスチナの戦闘が勃発して、これも激しさを増すばかりです。
 いずれも解決のめどが立たないまま、長期化することが懸念されていますが、今この時もあの爆炎の下で多くの罪のない人々が尊い命を失い、また生活に苦しんでいることを考えますと、一日も早く戦闘を中止していただきたいと強く感じます。
 国内に目を転じますと、新型コロナの5類移行後の社会生活は正常化してきましたが、世界と同様にインフレが進行し、庶民の財布の紐は固くなって個人消費が伸び悩む状況となっています。
 政府は賃金の引上げを実現し、物価と賃金が共に上昇する好循環を生み出すべく、税制や予算で対策を打ち出していますが、年末になって政治の世界も大きく混乱しているようです。
 政治と経済は表裏一体ですから一刻も早く政治が安定し状況が好転していくことを願うばかりです。
 そうした中、令和6年度の政府予算案が12月22日に閣議決定されました。国土交通省、環境省連携事業である「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」には、今年度と同額の70億円の大きな予算が計上されました。
 昨年の政策の焦点であった倉庫税制については、延長・拡充が決まりました。
 こうした予算・税制の結果につきましては、国土交通省の皆様や環境省の担当部門の皆様のご支援と、自民党の物流倉庫振興推進議員連盟の先生方の強力なお力添えの賜物であると心より厚く御礼申し上げます。
 とはいえ、ご承知の通り冷蔵倉庫業界を取り巻く事業環境は決して楽観できるものではありません。電気料金や資機材の高騰、人手不足や労働時間の適正管理、さらには脱フロンやCO2排出削減など、重要課題が山積しています。
 また、物流の2024年問題への対応が差し迫っており、当協会も昨年末に政府のガイドラインに沿って「冷蔵倉庫業界における物流の適正化・生産性向上に向けた自主構造計画」を策定し国土交通省に提出したところです。
 今年も会員事業者の皆様と共に、また業界の枠組みを超えた取り組みでこうした多くの問題に真摯に取り組んでまいります。
 今年は甲辰(きのえたつ)年です。
 甲(きのえ)は十干の始まりで、「生命や物事の始まり、真っ直ぐにそそり立つ大木」を意味し、また辰(たつ)は幸運や財運に恵まれ、景気の良くなる年を言われています。
 竜が上昇気流に乗って大きく天に昇っていくが如く、またもちろん「画竜点睛を欠く」ことがなきように、注意しながら、当協会は今後とも業界発展のため着実に前進する一年にしたいと思っております。
 是非皆様のご支援ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。(日冷倉協・東冷倉の新年賀詞交歓会の挨拶より)

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