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この人に聞きたい:第931回
(週刊水産タイムス:24/04/29号)

未来永劫つないでほしい

共同船舶(株) 代表取締役社長  所 英樹氏

 

沖合母船式捕鯨を継続、安定供給へ

 共同船舶は竣工したばかりの「関鯨丸」の船内見学会と竣工記念パーティーを山口県下関市内で4月3日開催した。地元議員や行政、捕鯨関係者など約130人が参加し、73年ぶりとなる国産の捕鯨母船の建造を祝うとともに、未来につなげていく捕鯨文化への思いをひとつにした。
 所社長は以下の様に挨拶した。
   ◇
 構想から約3年と、かなりスピーディーに「関鯨丸」を建造して頂いた。ひとえに国会議員の皆様、水産庁の皆様、地元山口県、下関市の皆様、旭洋造船の皆様のおかげ。短い工期の中で完成することができた。
 日新丸と比べて幅が広く、解剖デッキが低い場所にあるのが大きな違い。日新丸の工場設備を移設したが、かなりスペースが狭い中、何とか押し込むことができた。大きな冷凍倉庫を設置せず、リーファーコンテナを40本、きっちりと積んでいるのが特徴。
 この関鯨丸を活用し、我々は沖合母船式捕鯨を続けていく。少なくとも30年間は鯨肉をみなさんに供給する術を獲得した。前任の日新丸は建造から37年間操業し、32年間調査捕鯨、最後の4年間は商業捕鯨で活躍した。南極海にも何度も行き、クジラを約1万頭以上捕獲したが、疲れ果てていた。最後の航海ではボロボロの状態であったが、乗組員総出で頑張り、何とか操業を終えることができた。今年、関鯨丸が完成しなければ、母船式沖合捕鯨の幕が閉じるところだった。関鯨丸をみなさんのお力添えのもとで造って頂いたということは、沖合母船式捕鯨を継続させて頂いたということに他ならない。

竣工記念で思いこめた楽曲を制作

 これから30年と申し上げたが、沖合母船式捕鯨をつないだということは、4月に入社したばかりの若い社員が30年後にもう一度捕鯨母船を建造したいと思い、沖合母船式捕鯨を未来永劫につないでいってほしい、そういうきっかけになればと願っている。
 竣工記念で「ビヨンド・ザ・ディープオーシャン」という曲を作ったが、永遠に続いてほしいという思いを込めて作った。その思いを噛みしめながら聴いてほしい。
 「関鯨丸」を建造したからには、しっかりと稼働させなければならない。この1年間は大変な作業になる。まだ一度も動かしたことがない電気推進船で、リーファーコンテナを積むなど、初めてのことばかり。 良いことは船員の居住空間が充実していること。良い空間でよく寝て、きっちりと作業をして頂きたい。1年間は慣れない作業で大変だと思うが、その先にある良い景色を観ようと掛け声をかけている。

全国で消費拡大に向けて取り組む

 今日は妻と長男も一緒に連れてきている。私や妻が死んだら、遺骨は関鯨丸から海へまいてほしい。そのくらいの心意気で船を造らしてもらった。
 今年から原価償却費が重くのしかかるが、その負担を乗り越えるために黒字にしていかないと、沖合母船式捕鯨は途絶えてしまう。
 下関から全国へパワーを送って頂き、消費拡大に向けて全力で取り組んでいきたい。

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