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この人に聞きたい:第942回
(週刊冷食タイムス:24/07/23号)

2期連続で大幅ベースアップ

(株)ノースイ 代表取締役 社長執行役員  森瀬 公一氏

(もりせ・こういち)富士銀行から日商岩井に転籍し1994年ノースイに出向、96年在籍。2022年副社長、昨年6月から現職。1961年生まれ、62歳。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。少林寺拳法3段、剣道初段、書道2段。

利益はこれまで以上に社員へ分配

 「社長になったら給料を上げよう」と以前から決めていたことを実行。2期連続で過去最大幅となるベースアップに加え、ボーナスも引き上げた。

 ――昨年の社長就任時、社員に伝えたことは?
 森瀬 就任前の1年間、副社長だった時にかなりの権限を委譲されました。実質2年目だったわけですが、まず伝えたのは「稼いでくれ」、「利益を上げてくれ」ということ。「そうすれば、今まで以上に分配するから」。営業だけでなく、製品管理や品質保証、事務職を含むすべての社員が目の前の仕事を完遂すれば、それがすべて利益につながると伝えました。
 当社は創業から今年で68年。あと32年で100年です。32年先まで生き残るためには何をすればいいのか、1人ひとりに考えてほしいとも伝えました。短期的な商売ではなく、5年、10年先につながる商売を作ってほしいと願っています。

 ――給料はどのくらい上げた?
 森瀬 昨年、今年と2期連続で2万円ずつベースアップしています。さらにボーナスも増額し、これとは別に3月末に期末手当を支給しました。給料が上がれば会社に対するロイヤルティが高まり、誇りと責任感が芽生え、やる気もインスパイアされます。社員の働きも給料の上昇に合わせて格段に良くなったと感じています。
 以前から、社長に就任したら給料を上げようと考えていました。過去に在籍していた銀行や商社に比べて食品業界の給料は安いと感じていたからです。ただ上げるのではなく、トップクラスをめざしています。

 ――前期の業績は?
 森瀬 前3月期は売上高657億円、経常利益24億円。いずれも過去最高を更新しました。今期は売上高700億円、経常利益27億円が必達目標。4〜6月は順調に推移しています。私が社長の間に売上高1千億円をめざします。

 ――ノースイの強みは?
 森瀬 29カ国にある135工場と取り引きしてリスクを分散している点です。場合によってはヒト・モノ・カネを投入しています。
 もう1つは、品質管理担当者が農産事業部だけで10名いること。彼らが世界中の工場を見て回り、安全安心を下支えしています。管理体制が悪化した場合、「これはダメ」と否定するのではなく、一緒に良くすることを考えます。その際、最適な生産加工機械を当社が無償で貸与することもあります。クレームが少なく、品質が高ければ、値上げ交渉がしやすくなるというメリットもあります。

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