この人に聞きたい:第955回
(週刊冷食タイムス:24/10/29号)
価格以上の付加価値を提供
日本生活協同組合連合会 第一商品本部 冷凍食品部 部長
碓田 晃司氏
(うすだ・こうじ)学卒後調理師、食品メーカー(日配惣菜)に転じ、30歳で日本生協連に入職。通販食品バイヤー、コープ商品事業(営業・開発・ブランディング)担当を経て今年1月から現職。1977年3月3日、東京都出身。
点数減を単価増が押し上げ
日本生協連で冷凍食品の開発を担う碓田部長は値上げによる点数減に対し、主力品の改良で価格以上の付加価値を提供していく方針などを本紙に語った。
――4〜9月の状況は?
碓田 コープ商品の冷凍食品の供給高(売上げ)は0.7%増、点数は4%減です。宅配の供給高は増減なしで点数が4%減、店舗の供給高は3.8%増、点数1%減とどちらも値上げによる点数減を単価増が押し上げています。
――好調な商品は?
碓田 米飯とスナックです。
米飯は生鮮米が不足した影響で9%増となりました。
スナックは他のカテゴリーと比較して、代替が効かないことや値ごろ感があることから値上げにも強く6%増となりました。たい焼きや今川焼のほか、新商品のピザが好調です。
――一方で不調な商品は?
碓田 和惣菜が8%減と苦戦しました。もともと主力商品だったがんも類が値上げの影響により、値ごろ感があって調理も簡単な洋惣菜や中華惣菜など他のカテゴリーに流入しました。調理素材的な側面もあり、若い層には魅力が伝わっていないことが課題です。
――点数減への対策は?
碓田 来春以降に供給金額の高い主力商品を中心にブラッシュアップしていきます。中華惣菜やめん類、フライ類などが対象です。値上がりした商品をスペックダウンして価格優位性を出すのではなく、価格以上の付加価値を提供する方向性で訴求していきます。
主力品である「枝豆がんも」を単純値上げした不振だったことから、1つあたりの大きさをコンパクトにして個数を増やした上で、クラッシュした枝豆を具材に入れて食感を工夫した「ミニ枝豆がんも」を投入した結果、好調に推移しました。このような事例を踏まえ、取り組みの横展開を進めていきます。
各地域生協の類似商品などを統合し、品番を削減することでコストダウンも図っていきます。
――9月から開始した特別価格でコープ商品を提供する「くらし応援全国キャンペーン」では冷凍食品を拡充した。
碓田 3回目となる今回は、冷凍食品の対象商品を前回の8品から29品に増やしました。パスタや焼きおにぎり、今川焼き、たこ焼きなど普段からの主力カテゴリーを中心に品揃えしています。
炒飯は前年のキャンペーン期間中に80%増となり、以降も伸長しています。このようにまずは冷凍食品を手にとってもらい、継続利用を促していきたいです。