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今週の一本

●まず市場の創造にチャレンジしてみるべき  越川宏昭 (週刊水産タイムス:05/04/11号より)

企業人は業績の低迷を得てして経済環境のせいにしたがるものである。やれデフレだ、市場の縮小だ、はたまた競争激化だ、輸入品が増えたのでという具合。低迷の理由に事欠かない。「市場は与えられるものではなく、創造するものである」。どこかで読んだ文句だが、この認識がある限り、前述のような言い訳は成り立たない。

缶詰業界の低迷が伝えられるなかで、銚子の信田缶詰が新工場を完成して、注目を集めている。周知のように缶詰生産は毎年1割方減っているのに信田缶詰はなぜ新工場の建設に踏み切ったのか。

同社が得意とする、いわし、さば、さんまなどいわゆる青物缶詰カテゴリーが健闘しているということもあろうが何よりも時代の要請に応えようとする同社のアグレッシブな経営姿勢がモノをいっている。ごみゼロをめざすゼロエミッションへの対応、万全の廃水処理、近隣への騒音対策。そして水産資源の有効活用を図る。少量多品種生産、受発注・物流の24時間対応などにより顧客のニーズにしっかりと応えている。

このように顧客が求める要請にいち早く対応した缶詰工場だからビジネスチャンスは大きく広がっていく。環境のせいにする前に、まず市場の創造にチャレンジしてみるべきである。


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