●法令遵守は健全か内を向いた論理で仕事をするなコンプライアンス(法令遵守)が健全に働いているかどうかの分かれ目は、仕事を内向きにしているか、外向きにしているかにある。 JR西日本が多大な犠牲者を出す事故を引き起こしたのは、内向きの仕事をしていたからに他ならない。なぜ内向きに仕事をしていたのか。経営者が絶対的な権力を持っていたからではないか、というのは常識的な一つの見方だと思う。 「オーナーが長く経営者に居座っている会社があるでしょ。あれはね、はっきり言って社会悪だよ。僕も好きなようにやってきたから分かる」と、取材で懇意になった元オーナー経営者が正直に語ってくれた。この方は会社を上場企業に売却。子会社として存続する道を選び、雇われ経営者となった。それは何よりも従業員のためだという。 売却前、オーナー亡き後の会社はどうなるのか、と不安を抱えていた従業員が少なくなかったようだ。同氏いわく「自分が生きている間、会社が何とかなればいいと、オーナー経営者は本音で思っている」。そういうオーナーは実際多いのかもしれない。 絶対的な権力者がいる企業なり国は、傍から観察していると滑稽に映る。当事者達は、そういう滑稽さを中々感知できないだけに始末が悪い。 臣下が都合の良い情報しか王様に報告しない国を描いた童話「裸の王様」は、童話ゆえに国が成り立っているが、現実ならいずれ、政策が迷走し国民が反乱を起こすか、他国から攻め滅ぼされてしまうだろう。裸でいることさえ気がつかない王様を生み出したのは、王様の絶対的な権力だったはずだ。真実を告げてはならないというのが、閉鎖的な組織内での「常識」だった。 この常識が常軌を逸するとJR西日本や西武鉄道グループのような事件として顕現する。ダイエーの迷走劇も発端は絶対権力をもっていたオーナーだった。業界の会社の常識は客観的に「常識」だろうか。そう願いたい。 |
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