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今週の一本

●中国の冷食業界 高コスト化進む
(週刊冷食タイムス:05/11/15号)

労働力不足が深刻 諸原料高騰も
注目される日水の省人工場

中国でも注目されている日水の新工場

中国の冷食産業はいま、大きな転換期を迎えている。十三億人以上の人口を抱えながら、冷凍食品工場の人手不足は逆に深刻さを増し、原料高騰と調達難も進んでおり、「中国だから低コスト生産」という構図は明らかに成り立たなくなっている。このため、機械化を進めようという流れが強く表れている。一方で、中国の経済成長は著しいため、冷凍食品の「内販」の可能性が明らかに高まっている。中国の冷食業界は欧米等の市場拡大にも意欲的。

中国のワーカー不足はいま相当深刻になっている。かつて平均月収が六百元〜七百元(一万円前後)だった工場の女子作業員の賃金は、既に九百元〜一千元(一万五千円)に急騰している地域が珍しくない。この傾向は北京、上海などの都市部や、日系冷食メーカーが多く進出している山東省、浙江省などの沿岸部に限らず、全土的な流れ。

しかも、それだけ給付しても「最近では必要なだけのワーカーが集まらなくなってきた」と多くの工場関係者が嘆く。「最も重要な経営課題は労務対策」。つまり「従業員が退職しない雇用環境づくり」を中国の冷食工場経営幹部は最大の経営テーマだと指摘する。食品に限らずあらゆる産業の工場が中国に進出した結果、食品は好まれない「3K」職種の代表格になった。

その一方で経済発展は国民の所得向上を明らかに高めており、家庭の手造り、あるいは一〜二元(十五円〜三十円)で一食をまかなえる伝統的な外食スタイルから「加工食品を購入する」生活様式に変えつつある。

こうした急速な環境変化に直面し、また、中国に進出した多くの日系冷食工場が十年の節目を迎えたという背景を基に、現地の冷食業界関係者は、日本が求める「低コスト生産」と「中国内販」の二つの大きいテーマに応えるため、機械化、自動化に軸足を転換しようとしている。

その象徴的な工場として中国の冷食関係者が揃って注目しているのが十四日に竣工式を行う日水の「山東山孚日水」(山東省青島市)。直線の五ラインを敷設する超大型規模でありながら、従業員は三百名程度と、従来の中国の工場としては異例の省力設計。しかも当初から欧米市場を視野に入れ、世界のグループ企業からグローバルに原料調達、加工するという新しいビジネスモデルの構築を図る。

新たな問題も生じている。機械化しようにも「満足な機械が導入できない」こと。省人化、低コスト化のため機械を導入しようとしても、日本の機械メーカーのメンテナンス体制整備が遅れているため「やむなく中国製の機械を使うことになる」。日本の機械メーカーの進出を待っている。

安全安心体制整備は総じて進んでいるが、鳥インフルエンザ、ポジティブリスト対応などの懸念材料も抱えている。日中業界の掛け橋となる「次代の人材育成」も重要案件になっている。



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