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今週の一本

●「非凡」と「凡」の違いは?     編集局長:越川宏昭 
(週刊水産タイムス:05/12/05号)

初志貫徹という言葉があるが、加藤義和加ト吉社長の「記念撮影」はまさにそれである。毎年1月7日の誕生日に地元琴平の金毘羅神社に参詣し、境内で写真を撮る。これを20歳で創業したときから今年まで50年間欠かさず行ってきた。

 前3月期にはグループ売上高を3000億円の大台に乗せ、創業50年目に花を添えた。

 加藤氏は今年、この50枚の写真を1枚に集約して、つねに持ち歩いている。

 50枚の写真にはまだ初々しさの残る青年時代から、観音寺市長を4期16年務めた壮年時代、そして株式上場を果たし、相次ぐ企業買収、中国進出を行うなど経営者としての円熟期まで、まさに人間加藤義和の人生が凝縮されている。

 加藤氏はなぜ毎年誕生日に同じ場所で写真を撮ることにこだわったのか。これは勝手な推測だが、過ぎし年の守護へのお礼とともに新年の決意を神前に誓ったのであるまいか。

 正月に元旦の計を立てる人は多いだろうが、50年間、一度も欠かさず、しかも証拠として残した人は少ないのではないか。

 「非凡」と「凡」の違いはこういった些細な行動にこそ現れる。50年間一度も売上げを減らしたことがないという。まさに新年の計は欠かさず達成されたということだ。


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