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●違反を出さないために 牛肉再び禁輸、ルールとモラルは表裏一体
去石誠一
(週刊冷食タイムス:06/01/24号)
昨年十二月に輸入が再開された米国産牛肉から二十日違反が見つかり、再び輸入が禁止された。輸入再開からわずか一カ月、しかも特定危険部位の「除去義務」を現場の検査官が充分認識していなかったための単純ミス。国内関係者の期待が込められていただけに、お粗末な結末に衝撃、驚き、怒りが渦巻いている。
冷凍食品業界を振り返ってみると、中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題が思い起こされる。平成十四年七月、中国産冷凍ほうれん草から残留基準を超える農薬が相次いで検出され、厚労省は輸入自粛を指導。翌十五年二月に自粛は解除されたものの、再度の違反がみつかり五月には二度目の輸入自粛が発動された。
牛肉、ほうれん草、いずれの場合もきちんとしたルールが作られ、それを守ってさえいれば問題は発生しないはずだった。が、そのルールが徹底されなかったことで問題が再発。消費者は一体何を信じて、何を疑えば良いのかも分からない状況だ。
食以外の世界では、建築業界による「強度偽装問題」がある。民間の指定認定機関の信頼性が揺らいでいる問題で、まだ抜本的な解決策すら見出せずにいる。
ライブドアグループによる一連の証券取引法違反容疑もしかり。開示された情報の真偽を疑えばきりがない。監査法人自体から疑ってみなければならなくなる。
農薬に関するポジティブリスト制度が五月二十九日から施行される。「世界の最先端を行く厳しい制度」とも評されるポジティブリスト制度で、その運用に食品関係者は期待と不安を膨らませている。しかし、制度そのものに異議を唱えるわけではないが、いくら立派な制度があっても事実を隠して公表されなければ、無意味。
ルールとモラルは一体のものでなければならない。正々堂々と「シロ」の判決を得た商品が供給されることを願って止まない。
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