●原料、エネルギー高が業界直撃限界超え値上げ不可避すんなり通さぬ市場論理に危機感もコスト高が深刻な段階になってきた。農水畜産原料の高騰に加え、原油高に伴う光熱費等のエネルギーコスト高が重なり、収支の限界点を超えるところまできた。となれば製品値上げは必至だが、市場はすんなりと価格引き上げを認めない。このままでは商品供給に支障がでることは避けられず、強い懸念が出ている。 原料は軒並み高騰している。特に水産原料は、頼りの海外資源が欧米と中国に多く流れ、加工し、製品として輸入しようにも円安でコストがひっ迫している。 畜産原料もみな高騰している。米国牛は輸入を再開したが、安いにもかかわらず、流通、末端は品質分析に一段と厳しい目を向けるようになっているため、米国産牛を積極的に原料に使おうとする動きはない。 市場最高値を更新し続ける原油価格の影響で、エネルギーコストも下げたものはない。物流費、電力・光熱費の高騰は冷凍食品事業を直撃し、収支が急速に悪化している。重油高によって自家発電を取りやめ、電力会社からの供給に切り換える動きも珍しくない。 そこでニチレイフーズはミニハンバーグなど畜肉系市販用主力五品の卸価格を九月から平均8%値上げすることになったが「ほぼ了解を得た」というものの、市場からの抵抗はかなり強かったと見られ、他社も追従しかねている。しかしこのままでは脱落するところが出てきかねない。非常に重要な局面を迎えた。 自家発電リース成り立たず 想定超える原油高原油高騰でメーカーは諸々のコスト上昇に苦しんでいる。包装資材や輸送費、ボイラーの燃料費等が総じて上昇。中でも原油高騰の影響でコージェネレーションシステムの運営が立ち行かなくなり、対応を迫られるケースも浮上している。 コージェネレーションは工場に自家発電装置を設置し、使用量にあわせて電気や熱を供給する発電形態。「エネルギーコストの最適化」が謳い文句で、原油価格の上昇にかかわらず安定価格でエネルギーを調達できるのが強みだった。 ところが、昨年来の原油高騰は想定外で運営会社の対応力をはるかに上回り、大きな痛手を受けて、ついにコージェネ事業から撤退するケースもでてきた。 これまで運営会社と契約していたメーカーにとっては晴天の霹靂。運営会社が手を退くと、メーカーは電力会社から買電するために配線工事をするか、原油を購入して自らコージェネを運転させるか選択せざるを得ない。 大幅コスト高は必至、苦しい対応を迫られる。
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