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今週の一本

●開発進む中国東北三省  去石 誠一
(週刊冷食タイムス:06/09/12号)

コスト安く、税の優遇も

京果食品はかぼちゃの生産開始

 日本の冷凍野菜関係者の視点が、中国東北地区に集まり始めている。これまで中国の野菜産地といえば、福建省などの華南地区、江蘇省などの華中地区、山東省などの華北地区が中心。北はせいぜい大連(遼寧省)までの沿岸周辺地区に集中していた。ところが、中国中央政府が打ち出した最重要プロジェクト「東北振興」を背景に、東北三省(遼寧省・吉林省・黒龍江省)への関心が急速に高まっている。三省の改革対象となっている八つの産業に農産物加工業が含まれており、増値税や固定資産税などの優遇措置が打ち出されている。加えて、厳しくなる残留農薬問題に関連して「三省は日本の東北から北海道の緯度に位置しており、南と比べて農薬使用量が減らせる」(業界関係者)というメリットがあるためだ。

 2002年に発足した胡錦涛国家主席による指導部は黒龍江省、吉林省、遼寧省の中国東北三省を重点開発地域に指定し、「東北振興」プロジェクトとして三省の経済発展を支援している。各省とも各種減税措置を適用している他、外資が参入しやすいように規制を緩和するなど、地域の経済発展に躍起となっている。

 こうした環境の変化を背景にして、冷凍野菜関係者も東北三省での産地開拓を進めている。京果食品(京都、野原拓社長)は昨年来進めてきた中国東北地区での冷凍野菜事業を本格的にスタートする方針を掲げて今月初旬、三省で開発を進める畑と加工工場に視察団を派遣した。

 同社は中国のパートナーと組み、昨年から桂木斯(=ジャムス、黒龍江省)や延吉(吉林省)でかぼちゃを中心とするテスト栽培を開始している。野菜の加工はパートナーの工場がある上海や山東省に運び込む他、瀋陽(遼寧省)の協力工場で行なう。

 中国全土に供給拠点を設けることで、年間を通じて原料の安定確保を図るのが狙い。東北三省は他の省と比べて人件費が安い事や、冷涼な地域のため農薬使用量が抑えられるのも魅力のひとつ。今後、原料野菜だけでなく、冷凍調理食品の新たな生産基地としても注目を集めそうだ。


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