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今週の一本

●おでん缶ブレイク  井出 万寿男
(週刊水産タイムス:06/10/02号)

オタクの聖地から茶の間へ

 天狗缶詰が販売しているおでん缶詰が大ブレイクしている。秋葉原の電気街で自動販売機に入れたところオタク族の間で人気に火がつき、テレビ「電車男」に登場したことで拍車がかかった。同社では「なぜ売れるのか、いまだに分からない」としているが、会社の知名度アップに大きく貢献しているようだ。

 天狗缶詰のおでん缶詰はこれまで6品入りで200円(牛すじ入りは250円)だったが、がんも、大根、牛すじを入れて8品にボリュームアップし、価格を300円に改定した。

 内容を充実したとはいえ、50%の値上げは食品業界の常識から考えにくいところだが、9月1日の「防災の日」を前に8月は用意した1万ケース(1ケース=24缶)が瞬く間に完売。9月は2万ケースに倍増したものの、欠品が出るほどで爆発的な売れ行きは衰えを見せなかった。

 同社はもともとウズラ卵やグリーンピースといった業務用缶詰が主体。20年前に「うずらの卵が余った時の窮余の策」として市販用のおでん缶を商品化したが、「おでん缶で儲けることは念頭になかった」(伊藤専務)。

 ところが秋葉原の電気街で自動販売機に入れたところ、数年前から人気が急上昇。アキバを舞台にした映画・テレビの「電車男」の1シーンにも登場したため、それまでの“オタク商品”から一般の若者にと購買層が広がった。

 ダイエーやローソン、イトーヨーカドーなどで販売しているが、「生産のキャパがあるため、通常ならあり得ないような話だが、『欠品も覚悟の上で』というのが条件。全店での対応は遠慮していただいた」と伊藤専務。人気商品を販促しない手はないと、提携を望む声は多いが、「おでん缶の人気はあくまでブーム。本物の“てんぐ”になって設備投資するようなことはしない」(同)と、おでん缶はあくまで“脇役”に徹するようだ。

 ただ、おでん缶の人気によって、会社のPRにつながったことは歓迎している。「業務用の営業の場でも『おでん缶の天狗缶詰』です、というと商談がスムーズに進む」。会社の売上げに占めるシェアは小さいが、宣伝効果は計り知れないといったところだ。


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