●注目集める産地「ベトナム」中国の一極集中を警戒WTO加盟見込み投資活発水産加工や冷凍食品の生産拠点として再びベトナムが注目されている。中国への一極集中に対する「リスク分散」の意味合いが強い。ポジティブリスト制度施行による検査の厳格化に伴い、中国からの輸入が止まった場合、他の産地を押えておく必要がある。今年中にはWTО加盟が見込まれるベトナムに、新たな投資意欲が高まっており、今後の動向が注目される。冷凍食品記者クラブ(本紙など14社加盟)が設立35周年を記念してベトナムを視察した。(詳報は姉妹紙「冷食タイムス」10月10日号に掲載) ベトナム国内での販売も意識 ホーチミン市ではメイプルフーズ(東京、戸恒徹司社長)の協力工場でもあるアグレックスサイゴン社を訪問し、リン社長に事業概況を聞いた。リン氏は「(中国などに負けないよう)付加価値の高い冷凍食品の開発を推進していく」、「人件費の高騰や人材確保の観点から機械化も検討する」、「日本以外への輸出やベトナム国内での販売にも取り組む」などと語った。 ニジコ社、3年後売上げ倍増今年、日本水産の100%子会社となったニジコ社(植木成治社長)は、ベトナムでエビを加工し日本に輸出している。同社は1996年合弁企業としてスタート、海抜ゼロメートルの南部メコンデルタ地帯に散在する天然池を利用して行なっている「天然囲い込み」で漁獲した原料えびを確保。凍結は1回だけのワンフローズンむきエビなどを日本に輸出している。 進出当初こそ苦労したが「2000年以降は黒字化している」(植木氏)という。05年売上高は約20億円、今後3年間で倍増を計画している。 農場の自社圃場化を推進するホーチミン市から飛行機で約40分、ダラット空港から車で約20分のラム・ドン県では、冷凍野菜を生産するノースイ(大阪、安原和男社長)のパートナー企業で台湾資本のオリエンタルライオン社(顔光輝董事長兼総経理)を訪問した。 同社は今年に入って増資を行ない農場の自社圃場化を進めている。以前は小さな畑の所有者と個別契約してきたものの「生産履歴が追跡できるトレーサビリティを徹底するためには心許なく、全てを一貫管理することを決断した」(顔氏)。 外資系企業は3年間免税など、優遇措置もある。同社はノースイの協力工場でもある。 第二次ベトナムブームとして注目を集めるなかで、「人件費の上昇」や「水産原料の国際価格の高騰」などの課題も表れている。現地に進出する日本企業ばかりでなく、現地企業も「人海戦術に加えて、今後は機械化も考えていく必要がある」と語っている。
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