●大手水産の水産事業の上期業績比較 越川 宏昭
(週刊水産タイムス:06/12/11号)
営業利益・金額はマルハ
日水は高い利益率示す
国際的な買付け激化が影響
大手水産会社6社の9月中間期の水産事業の業績を比較すると、売上高で増収と減収が半々ながら営業利益では全社が減益とし、環境の厳しさを裏付ける形となった。
水産事業が増収だったのはマルハ、極洋、東洋水産。日本水産、ニチレイ、ニチロの3社は減収だった。
マルハは収益重視で事業を推進した結果、国内養殖は増益だったが、海外エビ合弁事業が収益悪化。北米はスケコ安、スリミの扱い数量減により減益。水産商事は蓄養マグロの早期販売などで増益とした。荷受事業は減益ながら減収傾向に歯止めがかかった。市場外の戦略販売はマグロなどの加工原料の価格高騰により減益となった。結果、上期は増収減益。
極洋は前年同期比11%増と大きく伸ばした。主な要因はカツオ・マグロ、北洋魚などの取り扱い増と鮭鱒、南方魚などの価格上昇によるもの。半面、営業利益も10.3%減と大きく減らした。国際的な買い付け競争激化に伴う買い付け価格上昇による。
売上高を53億円減らしたニチレイは水産事業の再生プランによる取り扱い商材の絞込みが影響した。エビ加工品は原料高騰から調達を抑え減収。水産品は16.1%の大幅減。ホタテが在庫圧縮のための販売により減益、冷凍魚は調達を絞り込んだことにより売上げを減らした。
日本水産はスリミやエビの販売数量の減少や加工事業および養殖事業の拡大化の遅れにより減収減益となった。油脂・ミールの価格高騰による扱い数量減と飼料事業のコストアップによる収益低下があった。北米ではユニシー社の事業が順調、米国子会社の連結により売上げ増。南米は魚価の堅調で各社事業が順調。インドネシアのエビ事業は拡大が遅れた。タイのサケ加工会社の稼働が計画を下回った。鮮凍品は数量で7%減、金額で4.9%減。うち数量を伸ばしたのはタラコ、カニ、マグロで、減らしたのが鮭鱒、エビ、スリミ、ウナギなど。
ニチロは「サケ」の復活や、業務用ルートの開拓を図っているが、国際的な水産物需要の高まりで取り扱いが減少。連結の売上高は6.6%減少した。単体も前年比10.6%減の263億円。当初計画の278億円に届かなかった。
タラコなどの魚卵は増収となったが、主力であるサケ・マスや赤魚、カレイ類などが減少。サケ・マスは前年の1万0800tから1500t減少して9300t、赤魚は3400tから1100tへと激減した。
この結果、事業全体に占める水産品事業の構成比は前年同期の34.6%から32.0%と落ち込んでいる。
売上高営業利益率でみると、日本水産が2.05%で最高。続いてマルハ、東洋水産、極洋、ニチロの順。マルハは営業利益額で日本水産の1.9倍をあげているが、利益率ではは日本水産のほうが上をいく。
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