●グループ内の再編急ぐ OUG溝上社長荷受けは効率を最重点に
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大阪魚市場などの持株会社、OUGホールディングスの溝上二社長はマルハの近畿地区荷受グループとの事業統合を凍結するに至った理由について「この3〜4年の状況変化と両社の目的意識の相違が確認されたため」とし、今後は(保留していた)OUGグループ自体の再編を「一挙に加速させたい」と述べた。
――昨年10月OUGホールディングスが持株会社として発足した。
溝上社長 大阪魚市グループは、水産物流通の急激な環境変化の流れに対応するためにかなり前から事業再編をめざしていた。事業再編を要約すると「事業の選択と集中」、すなわち市場内の荷受事業と市場外事業の2本柱への再編です。
――市場内事業と市場外事業の両方をコア事業とするのですね。
溝上 荷受事業と卸売市場を経由しない市場外事業です。市場外経由率が高まる傾向から荷受事業は成熟期にある。一方で市場外事業は成長エンジンになり得る事業と位置づけています。
――具体的には。
溝上 荷受事業については水産物流通における市場シェアを向上させ、コスト効率を最大化するのがねらいです。マルハ系を含め荷受会社は7社、11市場ととらえ、近畿エリアの商圏をどう押さえていくかが鍵になります。
――市場外事業については。
溝上 地域性に対応してエリアの経済力、顧客嗜好に応じた戦略を推進する。大栄太源、スイチョク、やまは食品などのグループ会社の機能を地域ごとにどう再編するかです。現時点では東京、大阪、九州の3つの拠点をもつ会社に再編したいと考えている。地域各社は必ずしも同じ事業内容である必要はない。現在、各社がもつ機能を勘案しつつ地域に合わせた事業内容にしていけばいいと考えています。
――再編のタイミングはいつになるか。
溝上 近いうちに結論を出します。グループ内に必要な機能がない場合は他社との業務提携やM&A(企業の合併・買収)をやるつもりです。
――マルハとの近畿地区における荷受事業統合を凍結した。
溝上 平成15年9月に両社で業務提携を締結し検討を進めてきたが、この3年で状況が変わってきた。中央市場を活性化し当社グループの企業価値を高めるのが目標であり、当然荷受会社がイニシアティブをとるべきだと思っている。当社にとって荷受事業は売上高の60%、経常利益の58%を占める基幹事業です。今回、提携の対象になっていたのはマルハグループ約90社のうち神港魚類と大京魚類の2社に過ぎない。このあたりに両社の目的意識にずれが生じる要因があると思います。
――今後の予定は。
溝上 これらの経緯によって当社のグループ再編は4〜5年遅れたと思う。これから事業再編を急ぐ方針です。
――第3四半期の業績と今期見通しは。
溝上 一口でいえば減収増益です。売上高は0.4%減の2914億円、営業利益は74.5%増の26億1000万円、経常利益は62.6%増の26億1500万円、純利益は9億5200万円(前期は損失)。前期は赤字だった養殖事業の業績好転が大きく好転しました。通期は売上高3800億円、経常利益25億円、純利益7億円を予想しています。この目標は第3四半期でほぼクリアできていますが、あえて修正はしないつもりです。
――魚の消費減退が憂慮されている。市場卸による活性化が必要だ。
溝上 卸売市場が生産者と一緒になって量販店に働きかける「3尺運動」を展開している。魚売場を約1m広げようという運動です。魚マイスターの養成や子供への食育活動として漁港に連れていくといった地道な活動をおこなっています。こういう活動を通じて子供たちに少しでも水産物への興味や関心をもってもらえばと願っています。