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今週の一本

●“咀嚼”で脳が活性化 後藤 美緒(週刊水産タイムス:07/07/09号)

スポーツ歯学から分析

全蒲連がカマボコ研究会発表会

 全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会は「第4回かまぼこの健康機能性の研究発表会」を3日、虎ノ門パストラル(東京都港区)で開催した。全蒲連が昨年1月に公募した研究助成事業には全国各地から応募があり、同研究発表会では、その中から選ばれた5テーマの研究成果が発表された。

 コーディネーターは国際学院埼玉短期大学客員教授の鈴木たね子氏。
 東京歯科大学スポーツ歯学研究室の石上惠一教授は「かまぼこ咀嚼(そしゃく)の脳機能に及ぼす影響〜近赤外光分析法による検討〜」と題して発表。かまぼこの弾力に着目し、かまぼこ咀嚼中の脳血流の変化について調査した。
 研究から、かまぼこを咀嚼すると、オキシヘモグロビンとトータルヘモグロビンの発生が認められ、特に硬いかまぼこの方が脳の活性効果が大きいことがわかった。かまぼこは高齢者を中心に好まれることもあり、積極的に食卓に並べることで、高齢者の身体機能向上へとつなげられる可能性がある。

 名古屋文理大学短期大学部教学部長の松田秀人教授は「かまぼこの耐糖能に及ぼす影響に関する研究〜メタボリックシンドロームの一次予防を目指して〜」と題して発表。かまぼこ咀嚼とインスリンの分泌について調査した。硬いかまぼこと柔らかいかまぼこ、ツナをそれぞれパンに挟み、マヨネーズを加えて300キロカロリーずつに調整。硬いかまぼこサンドを咀嚼すると、インスリンは速やかに上昇下降と理想的な分泌を示し、ツナや柔らかいかまぼこと比較して明らかな差異が認められた。インスリンは血糖値を下げる効果を持ち、弾力性豊かなかまぼこを咀嚼することで、生活習慣病の予防効果を期待できる。

 小谷公穂会長は「最近は不心得な人・モノが出回り、消費者の神経を逆なでし、信頼を失う事件が頻発している。多くの製造業者にとって大変腹立たしいこと。研究から信憑性ある結果を出し、消費者の信頼を回復できるよう努めたい」と挨拶した。

肝障害を抑制 腸内細菌への影響は 栄養特性は

 そのほか、長崎大学水産学部の新井博文氏、玉川大学農学部の冨田信一氏、東北大学大学院農学研究科の宮澤陽夫氏の研究が紹介された。

 新井氏は「かまぼこ製品の摂食による肝障害抑制効果」に関して研究。かまぼこに急性肝障害抑制効果があるかを調査した。マウスを使って実験したところ、急性肝障害の予防、抑制に効果は認められなかったが、アルコール性肝障害については今後の研究に期待できるとした。

 冨田氏は「かまぼこ及びかまぼこ酵素分解物のヒト腸内細菌に及ぼす影響」について研究。顕著な効果は見られなかったが、かまぼこたんぱく質中の成分が有害菌の菌体膜に損害を与える可能性が示唆された。

 宮澤氏は「DNAマイクロアレイを用いた“かまぼこ”を利用した伝統的日本食の栄養特性評価」について研究。かまぼこと畜肉ソーセージをラットに4週間食べさせ、遺伝子発現量を求めた結果、脂肪酸合成系及びコレステロール合成系酵素群の低下がかまぼこ群で顕著だった。また、脂質の酸化ストレスはかまぼこ群で低かった。以上から“かまぼこはソーセージよりも体に優しい食品”であるとした。

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