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今週の一本

●第12回中国国際漁業・水産養殖博覧会(大連) 越川 義之(週刊水産タイムス:07/11/12号)

お祭りムードからビジネス一色へ

長崎産鮮魚に中国バイヤーが熱い視線

 中国国際漁業・水産養殖博覧会が6〜8日、大連のワールドエキスポセンターで開催された。12回目となる今回は欧米を中心に世界のバイヤーが集結。日本からは極洋、ニチモウ、阿部長商店が出展。米国のトライデントシーフーズ、世界最大のサーモン養殖会社マリンハーベスト、VASEP(ベトナム水産物輸出生産者協会)、アイスランドのアイスランデイックなど500に及ぶ世界の有力企業・団体が1500ブースに出展した。活気に溢れる中国シーフードショーを追った。

 シーフードのグローバル化を裏付けるように年々規模を拡大してきた大連のシーフードショー。今回は32カ国、約500の企業・団体が出展し、大勢の来場者で賑わった。
 日本からは極洋、ニチモウ、阿部長商店が参加。米国のトライデントシーフーズやASMI(アラスカシーフードマーケティング協会)、ノルウェーのマリンハーベストやノルウェーペラジック、チリのサルモネス・パシフィックスター、アイスランドのアイスランデイックなど海外の大手水産会社・団体も出展した。

 同シーフードショーは、「ブラッセルと並び業者間の情報交換の場として認識されている」とトライデントシーフーズのインターナショナルプロジェクト開発部長Doug Van Devanter氏は語る。長年に渡り中国シーフードショーを見てきた米国商務部上席水産専門官の浅川知廣氏は「かつては初日の午前中に来客者が集中。試食には長い列を作っていたが、今年は来場者が多いだけでなく目的がはっきりしている。統計をもとに話をする人もいる。過去にはなかった現象だ」と、かつてのお祭りモードからビジネス主体にシフトしていると語る。

 来場者のバイヤーは大きく2つに大別できる。ロシアを中心に低廉な商品を買い付ける欧米勢、旧正月に向けた高価格の原料確保に奔走する中国勢だ。
 スリミを製造販売する中国企業のブースではあちこちで電卓をはじきながら真剣に値段交渉を行なっている姿をみかける。商品を見定めるというより、開口一番「How much?」と尋ねている。
 一方、カニや鮮魚など高価格商品を展示するブースには中国の富裕層消費者をターゲットにしたバイヤーが群がる。上海を拠点に長崎産の鮮魚を専門に扱う「上海長申魚市」のブースはその一例。日本の高鮮度な魚を目的に大勢の中国人バイヤーが殺到、矢継ぎ早に質問が飛び交う中に欧米人の姿はない。

 3年ぶりに同展示会を訪れた極洋の海外事業部参事の山田俊彦氏は、中国企業の展示を見て中国内の水産ビジネスの磁場変化を感じたという。
 「これまでは中国へ原料を売りたい企業、原料調達を目的とする中国企業向けの展示会だった。ところが、多くの中国企業がサケやコガネガレイなどの商品を販売している。かつて、原料を海外の企業から購入し加工していた中国企業は、直接原料を買い付け加工する力をつけている」と、同氏は世界的レベルで水産業が様変わりしていると語る。

 19世紀と20世紀の違いを世界史の視座で語るなら、ヨーロッパが主導した19世紀は20世紀に入り、もはやヨーロッパを中心に世界を変えることができなくなったといえる。日本は世界の水産業を牽引した中心的存在だったが、中国のシーフードショーで繰り広げられる光景を目の当たりにすると、日本中心の水産業はグローバルのシーフードビジネスに変容したことを肌で感じた。

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