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今週の一本

●原料高・製品安が直撃 井出 万寿男(週刊水産タイムス:07/11/19号)

大手水産中間決算 軒並み大幅減益に

 水産各社の上期は全体的に厳しい数字となった。どこも原料や資材などのコストアップを販売価格に転嫁できず、軒並みの大幅減益。年末商戦を含めた第3四半期での奮闘が望まれる。

マルハニチロHD
 水産セグメントは国内養殖事業が比較的順調に推移したものの、北米事業は操業コストのアップや円安要因を含めた日本向け商材(スケコなど)の国内市況低迷が加わり、水産商事はエビや鮭鱒などの市況軟化で利益率が低下した。売上高は2725億円で0.2%増、営業利益は35億5500万円で18%減少した。
 食品セグメントも売上高は814億円で1.2%増となったが、営業利益は24億6400万円で5.4%減少した。
 通期見通しはニチロの下半期が加味され、売上高8500億円、営業利益125億円、当期純利益50億円を計画。

ニチロ
 売上高は1.3%の減少にとどまったものの、営業利益は43.4%減、経常利益は65.5%減と大幅な減益となった。社宅売却による特別利益があり、中間純利益24億3900万円(前年同期は1億3300万円)を計上。
 加工食品事業は売上高が0・4%減の766億円、営業利益は36.7%減の19億8900万円。水産品事業は売上高が366億円で2.8%減、営業利益は5億3100万円で29%増加した。

日本水産
 全事業で燃料、原料、資機材の高騰分が販売価格に転嫁できず、減収で大幅な減益となった。
 水産事業は北米のF・W・ブライス社の買収効果で売上高は1151億円(46億1900万円増)となったが、日本国内のスリミ、エビ、中国産ウナギの販売数量減、チリのサケ養殖会社の地震と魚病の影響、アジアの加工事業、エビ養殖事業の改革の遅れなどで営業利益は17億3000万円(5億3700万円減)となった。

極洋
 売上高、利益ともに減少した。
 水産商事はほぼ全ての魚種で取扱いが減少し、サケやエビが相場変動で処分損が発生。加工食品事業も原料や資材のコスト高を販売価格に転嫁できなかった。
 寿司ネタなどの水産冷凍食品は昨年8月にタイの合弁会社、K&Uエンタープライズが新工場を立ち上げたことで売上高が増加。KUEは「予想を上回る売上げ」(福井清計社長。)

ニチレイ
 加工食品事業の売上高は前期比3.2%減の884億円、営業利益は52%減の14億9300万円。
 水産事業の売上高は382億円で2.3%増となったが、営業損失は3億4200万円(前期は2億3400万円の損失)と後退した。
 低温物流事業は、欧州を中心とした海外事業の伸長や、物流ネットワーク事業の採算性の改善により売上高は2.5%増の688億円、営業利益は24.6%増の43億3500万円と増収増益。

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