●「国産餃子を撤去」の例も消費者離れ加速、長期戦も必至中国産の冷凍餃子事件に思う中国製冷凍餃子の中毒事件に伴う影響は冷凍食品業界全体に波及している。 問題の天洋食品で製造した商品を自主回収すればこの騒ぎが鎮静化するわけではなく、ほかの「中国産」、さらには一部の国産品まで巻き添えを受けている。今回の事件は、単に「中国でのずさんな品質管理」という非難に止まらず、冷凍食品の見えない部分への不信感が増幅したといえる。となれば、すべてが疑惑の眼で見られる。しかも中国産、国産にかかわらず、「本当に大丈夫?」、「安全保証できるの?」と消費者から問われても、即座に「大丈夫」と答えられないことに、メーカーはもどかしさを感じているところであろう。 冷凍食品に限らず食品業界にとって、「世界の工場」とされる中国への生産依存度は年々高まっている。調理冷凍食品の輸入量は06年で31万t、うち中国産は20万tでおよそ65%を占める。いまや冷凍食品メーカーにとって中国工場は生産体制の枠組みにしっかりと組み込まれているのだ。 ミートホープ事件の教訓生かされたのか こういった状況が沈静化するにはかなりの時間を要するに違いない。大手メーカーの某部長は「最低でも3カ月はかかる」と長期戦の覚悟である。 今回の事件に直接関係あるなしにかかわらず大手メーカーの消費者相談室には問い合わせの電話が殺到している。中には通常の10倍以上というところも。その多くが「おたくの商品は大丈夫?」という問い合わせ。かなりの相手から「大丈夫だと言って」と言質を求められるという。すでに家庭のフリーザーに収納されている商品は本当に大丈夫なのか。不安を持たずに食卓に乗せたいという消費者の想いが消費者相談室に寄せられる言葉に感じ取れるようだ。 一日も早く、このような消費者の不安を払拭しなければならない。「安全安心」という言葉の重みを改めてかみ締めたい。 |
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