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今週の一本

●森山理事長「事態を見守るのみ」 松田 陽平(週刊水産タイムス:08/03/10号)

鰻輸入組 中国ギョウザ事件の影響

森山理事長

 中国及び台湾産ウナギの輸入業者で構成される日本鰻輸入組合の森山喬司理事長に、中国産冷凍ギョウザ事件が及ぼす中国産ウナギへの影響について聞いた。

【冷凍ギョウザ事件の影響について】

 (昨夏の中国食品に対するバッシング、風評被害により)昨年7〜8月は量販店では全く中国産ウナギ蒲焼きが売れずに、10月以降は残った在庫の販売に向けて販促を強めた。11〜12月に好転の兆しが見え始め、今年1月には前年比7割まで回復したとの声も聞かれるほど良いムードで来ていた。その矢先に事件が発生。最も影響を受けたのが中国産ウナギだった。
 事件直後のある量販店の話では、冷凍ギョウザはすべて国産に切り替えたため売上げは20%減にとどまったが、中国産蒲焼きは80%ダウンしたという。中国産を積極的に販売していた店で、落ちこみが顕著にあらわれた。
 現在、中国産蒲焼きを売場から外す店が多く、並べても消費者は手をつけないのが現状。外食など業務筋への影響は少ないだろう。今はじっと事態を静観するしかない。業界としては、これまで通り輸入ウナギの安全を守っていくだけ。

【中国側の生産、輸出動向について】

 中国側は輸出を実質上止めている状態。輸出食品全般に対して「安全を確認するまでは出荷するな」との徹底した指示が出され、各省がそれに対応しているので輸出業務は滞っている。
 中国産ウナギは残鰻が少なく、原料価格は高値。安いコストの在庫を潤沢に持つ日本からの注文はほとんどなく、旧正月以降加工場は稼働していないようだ。広東省や福建省では成約済み製品の出荷が止められているのが実情。なおさら加工場は稼働できない。
 中国側は、国内在庫を米国や欧州、ロシアなど日本以外に輸出すると強気の姿勢。北京オリンピックの影響で、中国国内の需要も伸びると予想しており、不足した場合は日本から安い中国産蒲焼きを逆輸入するとまで言っている。

消費・供給は半減
【今年の日本でのウナギ販売の行方】

 現在の中国産蒲焼きの日本国内の在庫は昨年8月末と同レベル(1万5000t以上)とみられる。2〜3割消化したが、9月以降に同じ程度の数量を輸入している。
 今年4〜8月までの消費量は半減するだろうが、在庫分を含めた輸入ウナギの総供給量も半減する。今年の国産物(昨年9月以降に生産された分)は品薄で需要を満たすだけの数量はなく、価格はキロあたり5000円前後と高値。中国産蒲焼きがその半値であれば、需要期の夏場に向けて売れていくだろう。
 今は冬ごもりの時期。ウナギ輸入業者にとっては扱い数量が減るので苦しくなるのは確かだ。

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