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今週の一本

●ニッスイ 新中計でVC強靭化図る  松田龍平 (週刊水産タイムス:25/04/14号)

海外展開を加速/成長投資に1100億円

 ニッスイ(東京都港区、浜田晋吾社長)は2022年公表した長期ビジョン「GOOD FOODS2030」に基づき、新中期経営計画「GOOD FOODS Recipe2」(2025〜27年度)を策定し、8日公表した。9日にオンライン会見を開催し、5月に社長就任予定の田中輝取締役執行役員水産事業執行が新中計の骨子や事業戦略、投資計画などについて説明した。

田中取締役
 新中計では、今まで以上に価値を創造し続ける企業となるため、不確実な環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる“バリューチェーン(VC)強靭化”に、マテリアリティ(重要課題)を基点として取り組んでいく。同社は“バリューチェーン強靭化”の要素を「価値創造力」「持続可能性」「リスク対応力」「人財力の強化」と捉え、▽事業ポートフォリオ強化▽サステナビリティ経営の深化▽ガバナンス強化――の3つの基本戦略をベースに事業を進める。
 新中計の最終年度(27年度)における数値目標は売上高9700億円(24年度見込み8800億円)、営業利益410億円(同325億円)、経常利益425億円(同350億円)、当期純利益300億円(240億円)、ROIC(投下資本利益率)6.0%、ROE(自己資本利益率)10.0%としている。
 同社は事業ポートフォリオ強化に向けて、「グローバル展開の加速」「新規事業・事業境界領域の開拓」「DX推進」に取り組む。
 特にカギを握る「グローバル展開の加速」では、北米・欧州を中心に事業規模を拡大。水産フライに続く第2の柱商材を育成するとともに、アジア事業の拡大とグローバルサウス(南半球の新興国や途上国)での事業機会を模索する。それにより海外所在地売上高比率を現在の40%(2024年度見込み)から43%程度(27年度目標)まで拡大する。
 水産フライについては欧州・北米での生産機能強化により販売拡大を図るとともに、アジアでのファストフード・クイックレストラン向け販売を強化し、圧倒的なシェア拡大をめざす。
 また、水産フライに続く第2の柱商材として、欧州ではタパス商品などの販売拡大、北米ではアジアンフード市場向け商材の現地生産などを進める方針。
 水産事業では「養殖事業の拡大とグローバル販売の強化」「資源の高付加価値化」「資源アクセス事業(北米・南米)の収支改善・体質強化」――に取り組む。
 南米チリで増産予定の養殖サーモン(2030年にアトランを含め5万t体制)や、日本産ホタテ、「黒瀬ぶり」(30年に1万6000t)などのグローバル販売を拡大する。
 新中計では「養殖」「ファインケミカル」「食品加工(海外)」「水産加工(北米水産を除く海外)」を重点成長カテゴリーと位置付け、さらなる事業の拡大・投資を行う方針。
 新中計における投資総額は約1500億円(成長投資1100億円、維持更新投資400億円)を計画。 
 水産事業(投資額220億円)では「黒瀬ぶり」や南米・国内サーモンの養殖拡大に向けた種苗生産設備の増強を図る。また、共和水産では老朽化に伴う代船建造などを計画している。
 食品事業(660億円)では水産フライ増産のための北米・欧州での工場新設や、中長期的価値創造に向けた国内工場の再構築などに投資。そのほか、ファイン20億円、物流100億円、M&A100億円を計画。

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