この人に聞きたい:第995回
(週刊冷食タイムス:25/08/26号)
地域卸の存在意義を問い直す
中村角(株) 代表取締役社長 中村 一朗氏
(なかむら・いちろう)旧日本興業銀行から1998年中村角入社。取締役部長、常務、専務を経て2010年から現職。JFSA(日本外食流通サービス協会)会長も務める。1968年8月広島県生まれ、57歳。東京大学経済学部卒。
提案力を磨く努力惜しまない
冬の食品総合展をこのほど開催し、PBの新商品や人手不足に対応した惣菜メニューを取り揃えるなど提案力の高さを見せつけた。中村一朗社長は地域卸の役割を改めて問い直し、卸機能を磨き上げる必要性を説く。
――展示会は初出展のメーカーもあり大盛況だった。
中村 ありがたいことです。取引先を積極的に開拓していくつもりで、特に水産品と業務用で幅を広げていきたいと考えています。
――PBが増えている印象だ。
中村 地元企業などと組んで独自商品の開発に力を入れています。今までにない商品を開発しようという方針です。展示会で披露した開発中の「藁焼きサーモン(仮称)」(冷凍ロイン)はかつお以外の魚種で藁焼きを作ろうという発想です。市場にないわけではありませんが、当社は脂ののったトラウトサーモンを四万十川流域の米藁だけを使って焼き上げました。土佐の職人が一本ずつ手焼きしてサーモンの旨みを凝縮した逸品です。量販店からは「ぜひやってみたい」との評価をいただきました。
――業務用に力を入れている。
中村 現在は家庭用との割合が5対5ですが、業務用を6割まで持っていきたい。そのためにも受注のデジタル化や物流の機械化を進めて生産性向上に取り組んでいます。同時にコストを減らす努力も続けています。
――近年はコスト圧力が強く、体力勝負の様相が広がっている。
中村 体力勝負を勝ち抜く一番の要素は人です。営業力や提案力に必ずつながってくるし、お客様に選ばれるかどうかに関わってきます。人手不足はどこも深刻。地域卸でも事業連携やM&Aの動きが将来出始めるかもしれません。
――在り方が問われそう。
中村 当社の存在意義は何か、どのような機能を備えているのか、メーカーとお客様との間に立つ意味は何なのか―ということを突き詰めて考える必要があります。業務用卸の機能だけでなく、商品提案と情報提供、交通整理の役割も求められています。社員には一人ひとりが勉強して商談力を磨くよう伝えています。
――グループ年商は450億円に迫る勢い。今後どう伸ばす?
中村 業務用は小口を含めてきめ細かく商品・情報の安定供給に務めます。市販用は地域商品をはじめこだわりの商品を提案して、他店との差別化のお手伝いをします。中小メーカーの帳合いも引き受けます。社内には小回りの効いた営業をするよう号令をかけています。中身の伴った営業展開でトップラインを伸ばしていきます。