この人に聞きたい:第952回
(週刊冷食タイムス:24/10/08号)
地場九州でシェア高める
(株)岩田産業グループ HDS会長兼CEO 岩田 陽男氏
(いわた・はるお)食品業界一筋57年。大学入学を取りやめ、卸で修業。21歳で行商開始。23歳で12歳年上の兄の隆利夫妻と岩田商店(現岩田産業)を開業。2001年第2代社長に就任。21年から現職。1947年4月生まれ、77歳。
創業55周年に年商500億円へ
九州でトップクラスを誇る業務用卸、岩田産業グループの創業者オーナー。26年4月の創業55周年までに連結売上高500億円突破をめざす。(橋本)
――岩田産業の歴史と自身の半生を綴った600頁の大著「小事が大事 経営はコツコツと〜人生回顧録〜」をこのほど上梓した。
岩田 タイトルの“小事が大事”は尊敬する亡き兄、隆利の教えです。兄の「一国一城の主になる」という夢に共鳴し、23歳の時に兄と共に当社を立ち上げました。これまでの当社と人生を振り返ると同時に、次世代を担う社員らに当社の歴史や価値観を正しく認識し、今後も当社を支えて欲しいとの思いを込めて執筆しました。
――巻末に「会社を守り、社員を守るために、新たな覚悟をしている」とある。新たな覚悟とは。
岩田 当社をさらに良くしたいということです。創業者オーナーとして、まだまだ果たせていない使命が残っています。当社経営スローガンである「食を通じて九州を元気に」のもと、これからも力のある限り世のため人のために貢献していきたいと考えています。
――具体的な定量目標は?
岩田 創業55周年までに連結売上高500億円を突破したい。前2月期連結売上高は440億円で過去最高の売上高、営業利益となりました。今期の連結売上高目標は470億円。地場の九州・山口の外食産業におけるシェアは現状12%程ですが、これを15%に高めるのが中期目標です。そのためにも支社・営業所の新築移転はもちろん、EDI化をさらに進化させ、生産性の向上に取り組みます。
――人材育成も不可欠では。
岩田 それが最大の経営課題だと思います。そのため社内研修を定期的に開いています。研修では“理念は戦略に勝る”という考えを基本に、“小事が大事”だと教えています。これは兄が好んで引用していた二宮尊徳の言葉です。当たり前の小さなことができない人間に、大きなことはできない。これを社員は心に留めてほしい。きちんとした挨拶ができること、親しくなっても礼儀作法をわきまえることなどです。これは私自身が営業で信用を得るために心がけてきたことです。「挨拶は先手を打つ」が心得の第一です。
――75歳を過ぎてから山登りを始めたとか。
岩田 目的は自分の健康度を測るためです。仲間と年に5〜6回、登山に出掛けています。昨年8月には富士山登頂に成功しました。登山のためではありませんが、普段からストレッチやスクワットを毎日行っています。駐在していたので品質の高さが私にはわかります。ホテルビュッフェやアフタヌーンティーで活用できるでしょう。