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この人に聞きたい:第953回
(週刊冷食タイムス:24/10/15号)

未来型食品工場へ6社連携

キユーピー(株) 取締役 常務執行役員  渡邊 龍太氏

(わたなべ・りょうた)1987年キユーピー入社。生産本部生産管理部長などを経て2016年執行役員生産本部長。21年取締役上席執行役員。23年から現職(サプライチェーンマネジメント担当)。1964年7月長崎県生まれ、60歳。長崎大学水産学部卒。

秤量工程の自動化に挑む

 食品製造大手5社とロボット開発の新興企業が「未来型食品工場コンソーシアム」を今年夏立ち上げた。食品工場が抱える課題の中で非競争領域と位置付ける共通課題に対し、最先端技術を活用して解決をめざす。

 ――カゴメ、キユーピー、永谷園、ニチレイフーズ、日清製粉グループ本社の5社とロボット開発のTECHMAGICが参画している。発足の目的は?
 渡邊 労働力不足や原料高騰など各社が抱える共通課題を非競争領域と捉え、これらを最先端のテクノロジーで解決して持続可能な食インフラの構築をめざします。

 ――組織体制は?
 渡邊 TECHMAGICの白木裕士社長が会長、私が副会長に就きました。参画企業から生産技術の担当者らが集まり、それぞれの共通課題に対して分科会を今後組織していきます。包装や出荷などの下流工程は自動化が進んでいるのに対し、上流は遅れている面がある。上流工程は各社が差別化でしのぎを削る領域ですが、その中でも敢えて非競争領域を設定することが重要。開発コストの分散化とスピード化、解決策の汎用化、生産効率の向上が期待できます。最終的には業界標準をめざし、業界全体の成長発展につなげたい。

 ――秤量から始める理由は?
 渡邊 秤量は原料の粉体や液体を1〜2g単位で量り、小分けにする作業のため自動化が難しい。さらに少しの誤差でも最終製品に影響を及ぼす上、異物混入のリスクもある。このため作業員は神経をすり減らしながら行っています。これは各社に共通する課題。
 労働力不足が深刻化する中、こうした作業を強いることは長続きしない。このままでは食品工場で働くことを敬遠する人が増えてしまう。魅力ある職場にするためにも、まずは秤量の問題解決から始める必要があると考えました。

 ――生産効率は向上する?
 渡邊 実は秤量の自動化だけでは効率化につながりません。秤量の前後工程、いわゆる@荷受け時の開封A秤量B小分け袋の密封C搬送の4工程をシステマチックに自動化する必要があります。秤量の自動化を起点にして前後工程の技術開発にも段階的に取り組んでいきます。

 ――経営トップの関与は?
 渡邊 各分科会で課題や技術の詳細を詰めていきますが、上流工程には部外秘情報が多く含まれています。やはり経営者らが意思決定できるステアリングコミッティのような場が必要と考えており、参画各社と相談し、よりよい運営を模索したいと考えています。

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