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この人に聞きたい:第57回
(週刊水産タイムス:06/08/28号)

海外事業 正念場の年に

極洋 社長 福井 清計 氏

極洋福井社長 休日返上でトップセールス

 極洋の福井清計社長は5月にベルギー・ブリュッセルで開催された「2006ヨーロピアン・シーフード・エクスポジション」にゴールデンウィークを利用して足を運んだのに続き、7月は中国の協力工場5社で結成した「極洋会」を開催。8月は盆休みを返上して米国でトップセールスを行うなど、海外事業の拡大に向けて精力的に動いている。8月末には寿司ネタや冷凍すしを製造販売するタイの合弁会社、KUEの新工場が竣工する。(聞き手=越川宏昭本紙社長)

タイのKUEが竣工

――中国で「極洋会」を実施する狙いは。

福井社長 極洋の現状や今期の方針などを説明し、ビジネスパートナーとの相互理解を深めるのが目的。年に1回、開催場所を変えて実施するようにしている。極洋の動きをオープンにすることは先方からの信頼を得ることになるし、工場見学もさせてくれた。中国へは1年に1〜2回行っているが、そのたびに変化、発展しているのを実感する。

――8月は米国も訪れた。

福井 シアトル、ニューヨーク、ポートランド、シドニー、ハリファックス、シカゴと、東海岸を中心に回ってきた。白身魚のスリミやフィレ、サケ・マスなど、欧米の価格と比べて安ければ日本には売らないという方針。マスもかなり中国へ行っている。今は中国で消費するのではなく、加工して欧米に仕向けられている。日本の秋サケも高くなると予想される。

――米国での水産物需要は。

福井 世界の食文化に造詣の深い、ハーバード大・ベスター教授の指摘通り、米国人の水産物に対する需要は依然として旺盛で、ますます高まっている。ファーストフードではサーモンバーガーがよく売れているし、シーフードレストランや寿司店でも日本人以外の人がよく魚を食べているなと実感した。健康志向が大きな要因になっていると思う。

――KUEの新工場が完成し、9月から寿司ネタ、冷凍すしの販売が本格化するが。

福井 欧米での冷凍すしの販売は極洋が初めてやるわけではないが、『ダメなら撤退する』というような姿勢は毛頭ない。試験販売を通じて品質は認められているが、現地の担当者や代理店に対しては『右から左へぽんぽんと売れるものではない。具体的なマーケティング活動、マーチャンダイジングを含め、コツコツと着実に、心して取り組む必要がある』と念を押してきた。品質的にはクリアしたが、今後は売り方が課題。海外では“ポーラー・シー”という新ブランドで販売することも決めた」

――冷凍すしは中国でも可能性があるのでは。

福井 中国ではスーパーで当社の魚の切り身、豚串かつなどの販売実績があるが、冷凍すしも売れると思う。現地の協力工場もぜひやらせてほしいと言ってきている。

――中国の青島、欧州のアムステルダムと出先を相次いで現地法人化し、タイの新工場も完成する。海外の生産・販売拠点が整った。

福井 海外事業は特に、この1〜2年が正念場。売上げの1割は早くやりたいと思うし、2010年には200億円を目標に設定している。各国を自ら回ることで、海外事業にかける不退転の決意を全社員に感じ取ってもらいたい。

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