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この人に聞きたい:第74回
(週刊冷食タイムス:07/1/9号)

合併効果を聞く

ケイ低温フーズ 社長 染谷 昭 氏

シナジー発揮は2段階で
業務用にも力を入れて利益体質に

 加藤産業の低温部門とカネショーが昨年10月統合して生まれたケイ低温フーズの目標は3年後1000億円。染谷昭社長に今後の見通しと戦略を聞いた。

――1000億円を目指すと考えたときに、加藤産業の商圏でケイ低温フーズがまだ手がけていない地域がある。これをどうするか。

染谷 確かに仙台や秋田など当社が手がけていない地域もある。まだ全ての拠点を見ているわけではないが、低温を手がけている地域については、その低温の部分を加藤産業から当社に集約していくことも考えられる。ただし、単純に取り込んでいくだけでは売上げは伸びても成長とはいえない。その前に物流ネットワークを整備しなくてはいけないので、簡単にはいかない。

――旧加藤低温と地域や設備が重複する部分もあるのでは?

染谷 旧カネショーと旧加藤低温がそれぞれ顧客を持っているのだから設備的な重複とは考えていない。しかし、顧客が重複する部分を、一顧客一拠点に集約するという統合は準備している。商圏内の統合となれば、例えばだが、中国地区なら中国にセンターを作って統合することも考えられる。加藤産業は九月、九州の赤水に資本参加したが、赤水だけで約30億円の低温物流がある。これもグループの低温事業の一元化として考えれば未整理の部分だろう。そこをどうするかは今後の課題。

――加藤産業と旧カネショーのシナジー効果については?

染谷 まだ出ていない。ただし、シナジー効果を生むための構想は考えている。具体的には第1次と第2次に分けている。

――というと?

染谷 第一次シナジーは旧加藤低温と旧カネショーで顧客が重複していない部分が多いので、それぞれの持つ商品を売り込める。旧加藤の顧客に旧カネショーの商品を提案したり、その逆もできる。第2次シナジーは、加藤産業本体の顧客への売り込み。加藤産業とはドライ商品の取引はあるが、旧カネショーや旧加藤低温とは取引がない顧客はある。そこに低温食品を売り込む。第1次はすぐにでもできるが、第2次は時間がかかる。他社との競合もあり、お願いすればすぐに扱ってもらえるというものでもない。3年後1000億円を達成するためには、その時点で第2次まで進んでいる状態が理想だ。

――フルラインの提案を重視する卸が増えた。低温事業を分社化したデメリットもあるのでは?

染谷 それはない。加藤産業はドライ商品が中心で、低温食品はそれに付随するだけの形だった。それでは低温事業が広がらない。グループとしてケイ低温フーズを作ったことは極めて正しい。まして、分社化だからフルラインではなくなるなどということもない。ドライと低温では客層が違う。加藤産業は量販店が主体であり、低温で攻めるとなれば市販用冷食、惣菜、アイスしかないが、スーパー惣菜は業務用であり、外食も加藤産業としては接点が小さい。低温を強化すれば加藤産業にとって今までとは異なる客を攻めることができる。例えば外食チェーンを攻める場合、ドライ商品で提案するより魚、肉、チルド、冷食で提案したほうが獲得しやすい。顧客は一回の配送で持ってくることを望み、低温物流ならドライも含め三温度帯商品を一度に運べるからだ。

――なるほど。

染谷 さらに視点を変えてみると、今後どの業態が伸びるかといえば、小売店チェーンは店数が増えても1店あたりの売上げが伸びないのが現状。そこで惣菜化が進む。消費者は調味料より惣菜を買うことが増える。ドライはマーケットが減る。そのぶんマーケットが大きくなる惣菜でリカバリーしなくてはならない。個人的には、これが加藤産業グループの中の当社の位置づけと考えている。ドライ事業と低温事業を分けることで戦略を明確に立てることができると思う。

――地域の業務用問屋と競合も出てくる。

染谷 業界全体としてはそういった流れになるだろう。だが、当社は合併したばかりなので吸収等による拡大はまだ考えていない。営業マンが足りないという課題はあるが、今はまだ既存の資源を使って伸ばす。とても新しい事業に着手するような段階ではない。今後1〜2年の期間で合併後の基盤作りに力を注ぐ。集中する分野は(1)フードサービス(2)スーパー惣菜(3)農水産。もちろん冷食は粗々で売上げの四割を占める当社の中心事業であり、力を入れないというわけではない。ただ、家庭用冷凍食品が少なくなく、市販冷食は利益を確保しにくいのが現状。粗利を削ってまでガンガン攻めていくこともしたくない。当社の中期計画のなかで「高収益企業にする」という部分があるので、やはり業務用を伸ばしたい。

――メーカーに望むことは?

染谷 私見だが、今年は食品の値段が上がるだろう。そうなると中間流通としてはチャンスでもある。センターを通過する物量が同じだとしても、金額は上がるからだ。メーカーは味の素のギョーザのようにナンバーワン商品をより魅力的な商品に磨いてもらいたい。

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