この人に聞きたい:第78回
(週刊水産タイムス:07/2/5号)
クジラへの興味は尽きず
財団法人 日本鯨類研究所 理事 藤瀬 良弘 氏
プロフィール:(ふじせ・よしひろ)昭和32年生まれ。琉球大学を卒業後、愛媛大学大学院で農学研究科を、北海道大学大学院で水産学研究科博士課程後期を修了。昭和63年に日鯨研入り。鯨類生物研究室長、研究部長、参事を経て昨年11月に理事。
佐賀県生まれの大阪育ち。高校時代はワンダーフォーゲル部に所属し、夏休みには北アルプスに出かけた。大学は「今度は海へ」と琉球大学理工学部海洋学科へ。在学時代に恩師の西脇昌治教授や遠洋水産研究所の大隅清治所長(現日鯨研顧問)との出会いを通じて、今日までクジラ一筋の人生を歩んできた。
大学3年で捕鯨実習を体験。卒業研究は「イルカの汚染」を選んだ。琉球大卒業後に愛媛、北海道へと“北上”したのは「琉球大には大学院がなく、愛媛大には博士課程がなかったから」。
クジラの生態研究を深めるにつれ、「クジラとかかわる仕事がしたい」との思いが募り、日本鯨類研究所に。鯨類捕獲調査では南極海を5回、北西太平洋を10回経験しており、船上などフィールドでの生活が長かった時もあった。
クジラを追って南へ北へ。「研究すればするほど、不思議で魅力的な動物。決して柔な生き物ではなく、むしろ精一杯にたくましく生きている」と興味は尽きない。
昨年はIWCで持続的利用派が過半数を突破、南極海鯨類捕獲調査でミンククジラの捕獲頭数を倍増するなど、大きな節目となった。今年は「南極海での第Ⅱ期調査を軌道に乗せる年」と位置づける。
小学生を対象にした「クジラ博士の出張授業」も担当。ユニークな譬えと分かりやすい解説に、子供たちの評判も上々のようだ。