この人に聞きたい:第83回
(週刊冷食タイムス:07/3/13号)
タマゴを「語れる」人材育成
キユーピー(株) 取締役タマゴ事業担当 小澤 貢 氏
プロフィール:(おざわ・みつぐ)昭和39年入社。工務部等を経て、平成14年カナエフーズ社長。昭和21年3月千葉鴨川生、勝浦高卒、来週61歳。
夢は技術と商品力で世界一
キユーピーの冷凍食品の主体であり、グループ中計の柱の一つがタマゴ事業。子会社カナエフーズ社長から本社取締役に就き、新設の「タマゴ事業担当」となった。「タマゴを語れる社員を育てたい」とねらいは明確。
――元々は生産畑が長かった?
小澤 仙川工場(東京)10年、中河原工場(同)5年。鶉卵缶の光和デリカ(茨城)2年。本社の工務部(エンジニアリング部)で機械販売課。食品機械の外販を開始する時期であり、希望して異動しました。
――機械の外販?
小澤 昭和50年代初め、コンビニの大量出店の頃です。ベンダーが工場を立ち上げる際、設計から機械、工場レイアウト、製造指導まで一切を請け負う仕事でしたが、設計図描きから手掛けました。
――面白かったでしょうね。
小澤 前任者のいない事業。仕事は次々来る。ドラフターの使い方から学び、本当に面白い仕事でした。先方の顧客より設計した当方が商品を知っている。顧客に代わってCVS本部にプレゼンに出かけたことも何度かあります。
――続けてたら“先生”だった。
小澤 それが怖かったんですね。工場設計は全部私に回ってくる。そこで、12年を経て、再度志願して挙母工場に現場復帰。その後、本社生産管理部でグループ全体の生産体制を整理し直し、事業計画、収支計画の立て方も学びました。いろいろ勉強になります。
――カナエFで総仕上げ?
小澤 カナエフーズの本社工場長兼務、生産管理本部長から平成14年12月社長となったが、グループのタマゴ担当も2年前に命ぜられ、これまで兼務で動いてきました。でも兼務はきつかった。
――今回、専任の担当となった。
小澤 課題はタマゴ事業の人材も数字も育てること。タマゴの扱いはグループの単純積算で約1000億円、世界第2位です。これを名実ともに世界一にしたい。併せてタマゴを“語れる”人材を育てる。
――タマゴならキユーピー、と。
小澤 そう、タマゴのことなら原料相場も、商品もメニューも、歴史も語れる人を育てる。既に社内で「タマゴ学校」を立ち上げ、営業は初級から中級講座に内容を上げています。営業に引き続き、生産の社員も学校で学ぶようになりました。相当回数になります。
――指導者はどんな方が……。
小澤 それが人選にはまったく困らなかった。原料なら誰、品質なら彼、と社内にタマゴ博士が一杯いた。これはキユーピーの財産ですね。ある保健所の要請で、社員が学校で学んだことを披露したという例も出てきました。これはうれしかったですね。「タマゴを語れる社員」の育成は、必ず事業を強く、大きくしてくれます。
――工場周りが第一の仕事?
小澤 そのつもりです。直営5工場、タマゴ関連だけでもグループを合わせると38工場もあるので、極力回るつもりです。夢を持とう、と現場の皆さんに語りかけます。「技術と商品力で世界一」になろうよ、と。冷凍食品でも、まだまだ大きくしたい。