この人に聞きたい:第98回
(週刊冷食タイムス:07/07/03号)
水産加工さらに磨き上げる
日本水産(株) 常務取締役 食品事業統轄 細見 典男 氏
プロフィール:(ほそみ・のりお)昭和48年入社。八王子加食工場長、生産推進室長から平成15年取締役。17年副統轄。昭和25年4月京都生、北大水産卒、57歳。
凍菜も含め業務用強化が鍵
中央魚類専務に転じた高橋昌明氏に代わり、取締役食品事業副統轄から27日付で常務食品事業統轄(食品COO)に就いた細見典男氏。生産畑のエキスパートだが、2年間の副統轄修業で営業センスも加えた。
――基本は?
細見 既に期が始まっており、中期の新TGL計画も走り出しています。従って計画に基づく目標に向かい、そこに自分なりの考えを加えていくということになりますが、基本は新TGL。
――ポイントをどこに置く?
細見 新TGLの精神に沿って得意とする水産加工品を強化します。原料調達・養殖、エサの段階から加工、流通・販売に至る一貫した取り組みを通じて水産加工品は当社の強み。これにさらに知恵を加え、付加価値を高めることでもっと価値ある事業展開ができると思っています。この点で、日水は早くから水産と食品の壁をなくし、社内コラボを進めてきました。
――具体的に何から着手する?
細見 一番の課題は業務用の強化。同業有力メーカーと比べて、例えば冷凍野菜は枝豆以外に有力商材を持っていない。そこで中国産に限らず国産、その他の産地も含めて強化拡大するよう、スタッフと打ち合わせしています。また、商品開発にも課題を残してます。営業面では、新任取締役の山崎康正食品営業推進オフィサーをチーフとするプロジェクトを編成し、重点顧客48社それぞれに本社、支社担当が対応策を細かく決めて取り組むことを決めました。
――新商品寄与について。
細見 特に昨年は新製品が業績に大きく貢献したのに対し、今期は、当初計画が高くなっていることもあるが、見通しを下回って推移しているのは春の新製品の寄与が低いから。そこで開発力を再び強化し、市場に評価されるものを提案して業績に結び付けます。
――5年間で生産効率を2倍にする“2in5”、進捗は?
細見 04年度に対し昨年の生産性は21%増、従って想定した巡航速度からすればビハインド(未達)だが、有無を言わさず、何が何でもやれ、と絶対私は譲りません。生産性を高めるためには構造改革も不可欠。しかし、必死に取り組んでいると、知恵がわいて、いい方向に進みますね。その一体感、同じベクトルで進む一丸の取り組み姿勢が生まれてきました。
――知ってるから厳しい。
細見 いやそうじゃなく、姿勢、意気込みの問題だと思いますよ。例えば環境対応でCO2は二割、水は四割、廃棄物は三割の削減目標を掲げたものの、内心、ちょっと厳しいかな、とも思っていました。しかし前期までの目標をほぼ達成したんです。これは私だけでなく、現場も相当な自信につながったようです。やればできる、と。
――生産畑の細見さん、事業統轄は営業の役割も増えるが。
細見 確かに私は生産畑。そこで業務用はベテランの山崎取締役を軸に対応してもらい、私は全体を見ながら動きます。収益性強化、原料高、工場再編、凍菜強化……など課題は諸々。でもやりますよ。