この人に聞きたい:第101回
(週刊冷食タイムス:07/07/24号)
社員の意識が変わった
(株)キンレイ 代表取締役社長 木林 靖治 氏
プロフィール:(きばやし・やすじ)京大卒後東京銀行入行。日本リロケーションなどを経て平成17年8月キャス・キャピタル入社。同年12月からキンレイ社長。昭和31年生まれ50歳。
マーケティング体制も変更
国内の独立系投資会社キャス・キャピタル(株)がキンレイを友好的に買収して1年半以上を経た。企業価値を高める事が投資会社の目的とはいえ、冷食事業をどうハンドリングするかも興味のひとつ。木林社長に聞いた。
――企業の雰囲気が昨年から変わった。
木林 投資会社の子会社とはいえ独立企業のようなもの。グループから離れ一本立ちの環境になり社員の危機意識を生み出したのが変化の一つとしてあります。外部から見てどこが変わったでしょうか?
――商品は知られていても、企業としては派手さがなかった。それが昨年から吉本興業の木村祐一氏、オリエンタルラジオらとタイアップ企画を次々に出している。
木林 社員も知名度が低いと感じていたのですが、いい商品を作っているという自信は持っていました。アピール不足は反省すべきであり、当面は知って食べていただかなくてはいけないということで、昨年から外部の人材を入れ、マーケティングができる組織改革をし、それがうまく回転してきた。
――効果が出ていると?
木林 効果は徐々に現れています。アピールだけでなく商品開発の見直しも進めています。いい商品というのは思い込みではないか?本当にお客様に好まれているのか?新しい手法を取り入れていい商品になったのか?1年で社員がその見直しをする意識に変わりました。コンビニ市場では高いシェアですが、それで安心している部分もありましたから。消費者視点が大切です。
――吉本興業の企画は?
木林 社員から出ました。
――キンレイに来る前に食品にかかわったことは?
木林 ないですね。キンレイの商品は知っていても、会社は知らなかった。一つだけ食品にかかわったことがあるとすれば、20年ほど前の銀行員時代に花王さんとお付き合いしたこと。「この企業はすごい」と思いましたね。シャンプーなどの市場は飽和しているのに、お客様視点に技術力を加えた良い商品を作り、売れている。食品会社もまだ需要を作り出す方法があると思いますよ。商品さえ間違えなければ。
――具体的には?
木林 差別化が難しい食品産業の中で、おいしいものを作るのは先に述べたマーケティング力とさらに技術力。当社は自社でスープのダシをとっています。内製化したほうがいいものもあります。ストレートスープは当社の売りでもありますが、商品によっていいかどうかを常に検証しています。もう一つは安全。昨今の事件のケースもありますから、生産だけでなく事務も含め、ISO22000の取得を目指しています。
――業務用やスーパー向けは?
木林 業務用は雑穀麺を発売します。小売向けは高い価格帯を狙います。大量生産で安価に売る企業規模ではないですから。
――冷食事業の業績は?
木林 メインの部分は伸びていますよ。OEMなど採算の良くないものを減らしているので、売上げの伸びは一ケタを見ています。