この人に聞きたい:第112回
(週刊冷食タイムス:07/10/09号)
3年間で310億円を投資
(株)ニチレイロジグループ本社 取締役副社長 椎橋 治男 氏
プロフィール:(しいはし・はるお)昭和23年生まれ。46年日本冷蔵(現ニチレイ)入社。アムステルダム事務所、低温物流企画部長などを経て平成11年取締役。慶大経卒。
成長分野は「攻め」の姿勢で
ニチレイロジグループは今年度から3年間で310億円の設備投資を計画している。冷蔵倉庫・低温物流事業ではトップのポジションにあるが、今回は久しぶりの大型投資。どのような成長戦略を描いているのか。
――「物流ネットワーク」が成長の柱となるが。
椎橋 物流品質、付加価値の高いサービス、最終的には価格で決まります。グループでは輸配送車輌を高度活用するなどしてローコスト化を進めるとともに、メーカー物流共同化を加速、さらに生協・青果物流といった新規顧客・新規事業への挑戦などを通じて、売上げ・利益面での成長を図っています。「攻め」の姿勢で輸配送事業のさらなる拡大を目指したいと考えています。
――今のところ順調な成長を遂げている。
椎橋 食品物流事業者として名実ともにナンバーワンの地位を確立したいが、置かれている環境は決して楽観できない。3PL、保管、仕分け、流通加工、輸配送、情報システムなど、それぞれの機能をうまく組み合わせることで、サプライチェーン全体の高度化と効率化を提案し続ける考えです。
――地域保管も大きな柱だが。
椎橋 老朽化した冷蔵倉庫もあり、将来の事業環境をにらんだスクラップ&ビルドは避けて通れない。経営判断が難しいところだが、一時的に全体の収益が厳しくなったとしても、将来を見据えた取り組みを優先します。都城物流センターのように設備能力を3期にわたって拡大しているところがある一方、採算が見込めない施設は閉鎖するところも出てくるでしょう。各地域に根ざしたビジネスモデルが構築できるか、あるいは差別化がしっかり図れるかどうかが投資の判断基準となります。
――佐川急便との業務提携による飛脚クール便センター業務も全国展開している。
椎橋 全国に広がっている佐川急便と、ニチレイロジグループの各拠点を連携活用することで、高い品質管理に基づいた効率的な業務を推進しているところです。
――情報提供システムもかなりの時間と費用をかけて導入した。
椎橋 昨年度で完了しました。構想から5年が経ち、数10億円の投資。配送、作業、管理業務への支援等、これだけのシステムなので一件だけではもったいない。一般冷蔵倉庫業者への外販も行ないます。インターネットによる荷主向け情報提供サービスもあります。
――海外事業の動向は。
椎橋 国内に比べて売上げ規模は小さいが、将来性の高い分野。この3年間は経営基盤の拡充に注力します。欧州は西欧圏の収益回復と、中東欧への事業拡大に向けたポーランド事業基盤の確立がカギ。中国は新物流センターの早期開設による中国市場の収益基盤の確保に努めています。
――09年度の売上高は全体で1590億円の計画だが。
椎橋 ポテンシャルはもっと高い。とりわけ物流ネットワーク、海外事業は売上高、営業利益とも大きな成長を見込んでいます。