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この人に聞きたい:第113回
(週刊水産タイムス:07/10/15号)

提言 海の人に使ってほしい

NPO法人あんしんネットワーク 理事長 松岡 在丸 氏

 

上流域の山の木

 NPO法人あんしんネットワークでは神奈川県の小学校で自然環境の大切さを子供たちに伝えていくために、「山・川・海」のことについて教えている。
 このような関係で山・川・海に携わる人々とお会いする機会が多いが、山の人が海のことを、海の人が山のことをほとんどといっていいほど知らないことに驚かされる。

 海に関わられる人々に知ってほしいことは、日本の山林がかつてないほど荒廃してしまっていることである。我が国は国土の3分の2が森林という“緑の列島”であるにもかかわらず、海外から木材を大量に輸入し、国産材はわずか2割ほどの自給率しかなく、安値が長年続いていることが主な原因である。
 そうした中、山の荒廃によって海の生物にとって不可欠なミネラル類が不足し、漁業に打撃を与えていることに気づいた一部の海の人々が上流域で植林を始めている。
 しかし、海の人々の多くは日常にも追われ、なかなか植林活動に携わることなどできないのが実情だろう。だから、私はお会いする海の人々には“海にそそぐ川の上流域の山の木(国産材)を使ってあげてください”とお願いしている。家を新築する時、リフォームする時、港の上流域の木を使ってあげることが山の新陳代謝を促し、山への貢献、感謝につながるからだ。

 ここにきて、地球温暖化対策が叫ばれているが、身近な自然環境に対してひとり一人ができることから始めることが大切である。海の人々にまずは、きれいな空気やおいしい水のために頑張っている上流域の山の木を率先して使っていただきたいと願っている。

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