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この人に聞きたい:第127回
(週刊水産タイムス:08/01/28号)

築地トップインタビュー

東都水産 社長 関本 吉成 氏

 

目標の営業黒字化を達成
加工事業で新たな挑戦

 第3四半期が終わり、通期の業績もどうやら見えてきた。東京・築地市場の年末商戦は全体的にまずまずだったようだが、1〜3月のこの時期は通期の締めくくりであると同時に、来期への助走期間でもある。荷受各社の社長に、今期の総括と来期への展望を聞いた。

――年末、年明けのビジネスはいかがでしたか。

関本 暮れは数量が出て良い商いができたと思っています。年明けは相場が上がったが量的な変化は起きていません。日本海から揚がる天然ブリなどは値が高く消費者の手がなかなか出ませんでした。

――今期業績の見込みはいかがですか。

関本 連結ベースの売上高は1610億円、営業利益10億円、経常利益9億円、純利益2億円を見込んでいます。大きな貸し倒れが生じた影響で最終利益が出ていませんが、埋め合わせができるよう努力しています。嬉しいことに、財務面を強化し営業利益を確保する体制が社内に醸成されてきています。上期単体は営業利益が確保できなかったものの健闘したと思っています。

――健闘できた背景はどこにありますか。

関本 今期は中期3カ年計画の最終年度に当たりますが、本業である卸売部門で営業利益の黒字化を達成できたのが大きな成果です。社員個人の意識として本業を強化することの大切さを認識してきています。また、関東工場(船橋の冷蔵倉庫)を約15億円で売却し負の遺産を少なくしたことが大きいですね。今後は利益率の重視を社内で徹底していきたい。

――メキシコで蓄養マグロを行うエクスプローラーが民事再生法を申請しましたが、これに伴う影響は。

関本 メキシコのマグロ事業はいい方向に向いていたので残念。国内業者からも安定したマグロの生産量を確保できるようになってきていますし、他の業者から幾分カバーすることが可能ですが、それでも昨年の仕入れ量を100として70〜80%ぐらいになると思います。

――ヨモ七船橋工場の事業譲受けに関しては。

関本 工場と商権を譲り受けたのですが、新しい顧客を取り入れてビジネスを展開できると期待しています。当社の加工拠点としてはサケを加工する釧路の釧路東水冷凍、カナダのATC(エアロ・トレーディング・カンパニー)がありますが、ヨモ七船橋工場の譲渡を受け運営子会社東水フーズを設立しました。マグロ加工がメインですが、将来的にはアイテムを拡大していきたいと思っています。

――東水フーズ設立の目的は。

関本 水産卸で利益を上げるのは難しい時代に突入しています。当社が一歩外に出て新しい事業にチャレンジする布石にしたい。東水フーズは末端ユーザーのニーズに応える商品を提供し東水は原料を供給していく。当社がヨモ七の事業を受け継いで成功できるのかと注目されているのは意識しています。

――市場外流通が増え、卸の存在意義が問われています。これに対して場内はどのように対応されますか。

関本 鮮魚や旬の素材はプロの目利きを抜きにして成り立たず、市場の機能が失われることはないと思っています。形態は時代の変化とニーズにより様変わりするでしょうが、これからは市場から情報をいかに発信していけるかが課題の一つ。本業の集荷機能の強化が必須。同じ方向性をもつ他社と手を組んでいくことも必要だと思います。

――スーパーをのぞいてみると魅力的な鮮魚売場がない。小売店サイドは魚売場の演出に苦労しているようだ。魚のプロとして、荷受けが中心になって調理方法や魚種の特徴などの情報を発信していくことが大事だと思うが。

関本 魚の販売量を増やすためには売場の充実が必要です。レシピ提案や魚の食べ方など新しいアピールを前面に出すことは大切だと思います。これに関しても、卸が一丸となって取り組む課題の一つでしょう。同じように魚のトレーサビリティの問題も市場全体で考えていくことが肝要だと思っています。

――来期の新中期計画の準備は進んでいますか。

関本 具体的な策定はこれからですが、これまでの3カ年計画で掲げた営業利益の黒字化を継承し、若い社員の意見も広く取り入れ、先を見据えた経営戦略を展開していきたいとは考えています。

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