この人に聞きたい:第136回
(週刊冷食タイムス:08/04/01号)
業務用の士気高く善戦
日本水産(株) 業務用食品部長 山橋 英一郎 氏
プロフィール:(やまはし・えいいちろう)昭和55年入社。本社業務用食品課長から首都圏業務用営業部長などを経て3月1日付で現職。昭和31年11月東京生、慶應法卒、51歳。
未踏の商品領域に挑む
――業務用は長年の市場低迷に中国産の影響も受けて厳しい。
山橋 そんなことはないですよ。支社回りをしていますが、現場の業務用営業の士気はむしろ高い。確かに原料高や中国産事件の影響がないとは言えないが、だからこそ日本水産の業務用商品の安全性をアピールするチャンス。市況は厳しいが、これをむしろ好機と捉えて善戦しています。全体で前年を維持しています。さすがに農産品は中国産ウエートが高いので苦労してますが、調理品は2月、3月とも6%前後の伸びと非常に頑張っています。ただし中国産を否定する理由は全くありません。
――どう攻め、どう対処する?
山橋 一番やりたいことでありやらなくてはいけないのはニッスイの業務用の“顔”づくり。どなたからも認められ支持されるニッスイの業務用商品をクリアなものにし、存在感をいま一度示したい。
――例えばどんなイメージ?
山橋 「ニッスイの業務用って何?」と問われた時、かにクリームコロッケ、白身魚フライ、かきフライ、あるいは焼きおにぎりなど既に代表的な商品を様々ご愛顧いただいているが、「これだけはニッスイでないと」、「この商品ならニッスイだね」と10人のうち5〜6人に評価されるもの。それには現場の声を生かして顧客視点、マーケット・インの発想で商品を磨き上げることが大切です。
――本社、現場の双方を知っている山橋さんならではの仕事だ。
山橋 本社業務用食品部と販売現場を何度か往復しているので、その点では無理なくできる。業務用の世界はむしろ顧客とのコミュニケーションが勝負の鍵。併行して技術力、開発力、原料調達力などプロダクト・アウトのブラッシュアップも当然必要です。せっかくの機会なのでだれも手掛けなかった領域、商品にも挑戦したい。
――“顔”づくり以外の課題は?
山橋 当社の業務用はある意味で恵まれてるんですよ。調理冷食、農産品、水産品からファインフードまで幅広く持っているので営業はいろんなものが提案できる。それが逆に一極集中できない理由にもなっている。そこで優先順位を示し交通整理する役割が必要。本社はリーダーシップが必要です。
――他部門の商品も扱うとは?
山橋 食品以外の商品をいままでも業務用は扱っていたんですが食品、水産、ファインの3部門の販促を連携して取り組む仕組みに今年から変えます。そこで最終的に攻める商品を集中させればニッスイの業務用販売の力が増す。
――原料不安が強くなった。
山橋 当社は調達ソースがきっちりしているので原料不安はないが、供給量が限られているので、より付加価値を高めることが重要です。それができないとグループの中でも原料を持っていかれる。