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この人に聞きたい:第138回
(週刊冷食タイムス:08/04/15号)

製販一貫、たん白食品に集中

不二製油(株) 執行役員 蛋白食品部門長  溝上 勝人 氏

プロフィール:(みぞがみ・かつひと)昭和51年入社。外食市場販売部と東京蛋白食品販売部の統合で平成11年2月東京販売第三部長。昭和29年京都生、大阪育ち。関学商卒。

コストダウンで筋肉体質に

 従来の事業部制を(1)油脂加工食品(2)蛋白加工食品(3)小売商品――の3カンパニーに1日付で再編。蛋白加工食品は素材と食品部門に明確分割した。この結果、蛋白食品は開発、生産、販売まで一気通貫事業となった。

――蛋白食品に業務を集中、全権を任された。

溝上 これまでは蛋白食品事業部が商品をコントロールしていたが、販売を担当していた東京販売第三部と大阪販売二部は販売本部の管轄、開発は研究開発本部と機能別に分かれていました。販売部は大豆たん白食品だけでなく。油脂でも何でも扱えた。しかし08―10中計を達成するために、選択と集中の全社基本政策を決め、開発、生産、販売まで機能を集約することで各事業体質をより強くしよう、という方針に沿って蛋白食品部門が発足しました。

――社外からもわかりやすい。

溝上 あれもこれも、ではなく蛋白食品を選択して集中し、蛋白食品でちゃんとメシを食おうよ、という決意表明の新組織です。

――一気にダッシュ?

溝上 とばかりはいかないんですよ。原料問題が半端じゃない。原料大豆の価格、30%高ならともかく、3倍に跳ね上がっているんです。我々が主原料とする大豆がこれだけ上がったら、我々は戦いようがない。原料が3倍高なので「がんも」も売価を3倍に、とお願いするわけにはいかない。我々がいまできることは、徹底したコストダウン。それに製品値上げを取引先のみなさんにご理解いただくことです。

――戦うための弾(商品)づくりかとも思ったが。

溝上 開発部隊には「新製品はいらん、コスト削減を考えてくれ」と厳命してます。併せて値上げも実現しないと存続が難しくなる。

――蛋白食品部門が発足して勢い良く出るか、と考えたいが。

溝上 できるんだったら私もカッコ良く「行けぇ」と号令したい。しかし状況は易しくない。そこで商品の統廃合、整理を行い、集中して生産する仕組みを強化する。

――事業に息を吹き込む商品にも期待したいが。

溝上 蛋白食品に関する研究と技術開発面で不二製油は世界のトップ級。世界でウチしかできない商品のアイデアもあります。これなら世界で戦える。もちろん、食物繊維強化の「ファイタス」や冷凍豆腐など独自商品はもっと磨き上げ、需要を掘り下げます。

――海外事業も始まったが。

溝上 米国で「枝豆焼売」の販売が復活し、広がっています。健康価値の意識が強いのでもっと強化します。大豆の健康価値は北米だけじゃない。アジア、オセアニアなどもいける。その展開を進めるためにも筋肉体質にします。

――大豆たん白にこだわる?

溝上 組織名通り、「蛋白食品」ではあるが、これは大豆だけじゃない。そこに可能性を見出したい。先行する大手冷食メーカーに比べれば、不二製油は明らかにマイナー。しかしコロッケも作る総合メーカーになる気はない。ニッチでも価値ある事業にしたい。

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