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この人に聞きたい:第139回
(週刊水産タイムス:08/04/21号)

水産物はエネルギー資源と同じ

潟}ルハニチロ水産 代表取締役社長  伊藤 滋 氏

「量」から「質」へのビジネスモデルを

 マルハ・ニチロの経営統合に伴い、両社を囲む荷受会社の組織として大きな役割を担ってきた「マルハ魚友会」「ニチロ水産会」が、「マルハニチロ魚栄会」として新たにスタートした。17日に開かれた「マルハニチロ関東魚栄会」(会長=岩瀬一雄・横浜丸魚社長)の設立総会で五十嵐勇二マルハニチロホールディングス社長、伊藤滋マルハニチロ水産社長は、圧倒的な調達機能による強みを磨き、高収益業種への転換を図っていく方針を示した。

 マルハニチロ水産は管理部門と10事業部でスタートした。7つの支社を営業部とし、海外を含めた従業員は総勢460人。年間の扱い量は約31万t、2200億円となり、ほとんどの魚種が国内トップシェアとなる。水産物の供給と販売をグローバルなスケールで最適化していく。
 海外ではトップトレーダー、国内にあってはトップサプライヤーの地位を構築し、世界に冠たる水産物のプロデューサーを目指す。
 そのための具体的な戦略として@調達力の強化A海外加工品の拡大B国内市場の販売力強化C海外市場の販売力強化Dさらなる品質管理体制の強化――を掲げた。

 国内市場の販売力強化で言えば、魚の価値に対する見直しが必要だ。昨年度の輸入水産物は237万tで5年前に比べ24%(75万t)も減少しているのに対し、金額では9.6%の減少にとどまっている。
 欧米における健康志向の高まりや中国の経済発展を踏まえて世界的に魚価が高まっているにもかかわらず、小売業界が価格決定権を持つ日本のマーケットが適正魚価に対応しないことから、魚の日本離れ現象が起きている。
 水産物を生業(なりわい)とする我々は、この事態を真剣に受け止めなければならない。水産物は石油などのエネルギー資源と同じカテゴリーとして捉える必要がある。国民にとって必要な水産物はしっかり確保してくる。我々の存在価値、役割を示す必要があるのではないか。
 それとともに、自国内の生産物の価値向上にも寄与していく。荷受が生き残るためには鮮魚をはじめとした国産魚を中心に「量から質」へのビジネスモデルを構築しなければならない。魚価対策の見直しも迫られている。

 魚栄会の関係強化は論を待たない。何としても「共存共栄」、強いもの同士が結びつく「ウイン・ウイン」の関係を構築しなければならない。そのための実務者組織を作って内容を充実させていく。切磋琢磨しながら強力な関係を作っていきたい。

 今、世界の漁業生産は9000万t、養殖生産が7000tとなっている。特に漁業生産はあらゆる魚種で資源が厳しく、国際的な漁業規制によって今後増えることは考えにくく、水産物はますます貴重なものとなっている。
 マルハ、ニチロはこれまで魚栄会の皆様に対し、圧倒的な魚介類の供給の役割を果たしてきた。現在は残念ながら過去のようにはいかないが、それでも他社に比べ、皆様にしっかりとその役割を果たしているとの自負がある。
 ご存知の通り、マルハ、ニチロはここ数年、水産物調達力強化のため、資源アクセスに積極的な投資を行ってきた。旧マルハにおいてはスケソウ事業強化のためスケソウ母船「オーシャンフェニックス号」への資本参加、国内においてはグループ会社の大型海外まき網漁船への投資、マレーシアのエビ養殖会社「アグロベスト社」の買収、カンパチの最大養殖会社「桜島養魚」への資本参加を実施。今後、単船まき網船への投資も計画している。
 旧ニチロも一昨年、チリのサケ養殖事業、パタゴニア・サーモン社への資本参加をしている。
 新会社もこの方針を踏襲し、魚栄会の皆様にしっかりと安定供給していく役割を果たしていく。

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