この人に聞きたい:第140回
(週刊冷食タイムス:08/05/06号)
社内の融和に意を注ぐ
潟}ルハニチロ食品 執行役員 関東支社長 空木 長美 氏
プロフィール:(うつろぎ・おさみ)信州大農学部卒後、1年置いて日魯漁業(前ニチロ)入社。4月1日付で執行役員、関東支社長に就任。昭和24年10月28日生まれ、京都出身。
「飲みにケーション」も推進
4月1日付でマルハとニチロの事業統合で発足した「(株)マルハニチロ食品」の最大マーケットを支えるのが関東支社。「進化する営業」をテーマに掲げ、総勢136名の指揮をとる空木長美支社長に話を聞いた。
――関東支社の陣容は。
空木 支店・営業所を含め136名。マルハとニチロの単純合計では163名でしたから、30名弱は配置転換しました。関東支社は1都9県を担当しますが、この人員が多いのか少ないのか、3カ月様子をみて判断します。大手量販店や広域卸は本社が担当しますが、顧客に理解され評価される体制が必要です。支社98名の3分の1以上がマルハの人間、まだ顔と名前が一致しない人も。
――4月のスタートから1カ月経ったが、業績は。
空木 仮締め段階ですが、3業態で予算比99%。天洋食品事件(餃子事件)の影響で、市販用冷凍食品が12%前後落ち込んでいる中での数字なのでまずまず。市販用は2月の30〜25%減からみれば回復傾向にあります。冷蔵倉庫を越谷(埼玉)から臨海(東京)に移した当初は多少混乱しましたが、今は順調。日常の仕事に関する顧客の不満は、特別にはないと考えています。
――市販用冷凍食品の回復は一般的な予想よりも早そうだ。
空木 当社は中華関連の商材が多く、販促がかけられなかったのが痛いですね。ただ4月からは学校が始まり、弁当需要も徐々に上向いています。怖いのは、スーパーが「利益率の悪い冷凍食品がなくても、食品全体でみれば数字が作れる」と判断して、売場の縮小に向かった時です。冷凍食品の特性をアピールし、業界として消費者の漠然とした不安を取り除くことが大事だと思います。
――事業統合した新会社としての魅力も提示する必要がある。
空木 まずは人間から。歴史ある両社の社風を融合させていくところからです。私の見ている限り協調関係はとれていますが、利益の括り方など2社の「言語」の違いに戸惑う場面はまだあります。部長会議、課長会議はもちろん、課単位では「飲みにケーション」を推進しています。
――具体的には。
空木 マルハの原料調達力と、ニチロの開発・製造・販売力を商品として具体的に示していく考えです。問屋の展示会で、マルハの「鮪のたたき」、ニチロの「デザート」を提案することで、顧客側にとっては新しい提案になる。今後さらに具体的なモノが提示できるようになるでしょう。
――支社の方針は。
空木 ニチロ時代から言っていることですが、「進化する営業」を掲げています。楽しく仕事に取り組む意味でも、各自が日々進化することが大切。単に「お願いします」というだけの営業は駄目。世界的に変化する食料事情を捉えた上で、自らの言葉で相手に伝えることが大事なのです。当たり前のことですが、敢えて社員に伝えました。